2021.10.25
ノンアルコールドリンクについて、ちょっとまじめに考えてみました!
こんにちは、ベルギービールJapan(以下BJ)の実店舗「BEER BOUTIQUE KIYA」(以下BBK)の店長です。
BBKはボトルショップでもありますが、店内で樽生ビールの提供もしていて「飲める酒屋」となっています。
今年はコロナ禍において5、6月、つい最近も8、9月で、BBKでも店内でのアルコール提供ができない期間がありました。
まさかBBKでもこんな事態になるなんて…その時考えたのはノンアルコールドリンクの事。
店内で提供できるのはビールに限らずノンアルコールの商品。
4月にノンアルコールビールについての投稿をしましたが、その後も個人的に色々試していた時期でしたし、一応酒屋として、いろんなジャンルのノンアルコール商品を知っておくのも大事だな、と思いました。
再びお酒の提供ができなくなる、なんて事は考えたくないですが、そんな事態に備えるという意味でも、もう一度ノンアルコールドリンクについて考えてみることにしました。
今回もBJ担当の小林先輩と一緒に色々とテイスティングをしてみました。
店長(以下:店):飲まないけど酒売り場には行っちゃうので、その後も気になるノンアルコール商品色々試してますよ。ノンアルコールワインを買う回数が多くなった気がしますけど。
小林先輩(以下:小):それにBJでも販売できる新しいノンアルコールビールも時折入ってきてますよね。
店:個人的にめっちゃラッキー笑
店:さて、雑誌で見かけてすごく気になってたコレからいってみましょうか、なんせミーハーなんで。
世界一のレストラン「NOMA(ノーマ)」で経験を積んだ人が作るノンアルコールドリンク。
メルボルンのワインオルタナティブメーカー。
ノーマってだけでやられてます、ミーハーなんで。
NON 「No.1 ソルティッド・ラズベリー&カモミール」
小:見た目からワインらしさを想像してたけど、香りも味も例えたいものがすごく色々ある!
クランベリージュースの味わいがベースにあって、そこにさくらんぼ、赤しそ、アセロラのようなフレーバーもあって華やか。
店:赤しそ、いいですね、何となく塩っけも感じるから、ゆかりを思い出しました。
イチゴとか(ワインだとガメイっぽい?)ローゼル、ハイビスカスティーとかも感じますね。
小:紅茶っぽさもあったり。あと芝生とか干し草みたいな感じ、カモミール由来かな。
程良い甘酸っぱさに何とも言えないハーブのアクセント。
見た目も含めて華やか~~だけど複雑で面白いですね。
店:リンゴの皮のとことかトマトみたいなフレーバーもうっすらあるような。
和菓子に合いそうな気がしますね。
思ってたほどワインではない、独特な飲み物ですね。
NON 「No.2 キャラメライズド・ペアー&コンブ」
小:こちらも香りから色々来ますね。
アニスとかジンジャーとかスパイシーな感じ、桜の葉っぱみたいな感じだからニッキとかシナモンみたいな。
店:花もあるけどスパイス感だよね。はちみつとか梅酒みたいな甘さの香りもありますね。味も意外と甘いですね。
リンゴとか白ブドウの凝縮したような甘み。
小:味にもジンジャー、サフランのようなスパイシーさありますね。あと塩っけも感じます。
商品名がペアーだから甘みはリンゴよりは梨かもね。
ワインオルタナティブメーカーってあるからワインのイメージを強く持ちすぎてたけど、
ワイン要素はありつつ、また違った味わい深い飲み物だな。
店:不思議な飲み物、笑
BBKだとどちらかというとサワーエールとかフルーツビールが好きそうな方が好きになるかも。
酸っぱくはないけど、このあれこれ言いたくなる面白さは、いわゆる健全な変態向きなのかも。
お値段も結構なのでおもしろがれる人じゃないと、ね。
ヴィンテンス3種
店:ではデイリーに使えそうなノンアルコールワイン行ってみましょう。
なんと!こちらのノンアルワイン、ベルギーで造られてます。
赤(メルロー)、白(シャルドネ)、スパークリングをご用意しましたよ。
やっぱり泡から飲んでみましょうか。
小:炭酸の感じが優しいですね、もうちょっとスパークリング感があると、ね。
マスカット、白ブドウの味わいがギュっとつまったようなフレーバーありますよね。
店:どちらかというと甘めなスパークリングかな。
小:白ワインはスパークリングに比べると甘みは少ないですね、いい感じ。
パンのような香りとか、リンゴやパイナップルを思わせる味わいがあります。
店:私もリンゴ感は結構分かります。
店:赤ワインはカシスが分かりやすい。
小:ブルーベリー、ブラックチェリーのフレーバーと、ちゃんと渋みを感じてかなりワインらしい!
店:カカオっぽい感じもあったり。この渋みを感じさせるところが個人的に高評価です。
デュク・ドゥ・モンターニュ2種
店:こちらも!ベルギー産のノンアルコールスパークリング。
小:個人的に泡の時はこちらの方を飲む事が多いです。まずは白から。
リンゴとか洋梨のようなフルーティーさがありますね、白ブドウとかスモモもあるかな。
店:甘みはほんのりあるけど酸味も感じられてすごくバランスが良いですね。
同じ白だとヴィンテンスに比べるとちょっとシュ!としてるというか。
小:ロゼは見た目にもやっぱり華やかですね。ブドウの他にサクランボ、パイナップルみたいなフレーバーを感じます。
店:今日のスパークリングで酸味が一番程良いかも。白に比べると更に甘みが抑えられててすっきりと飲める印象です。
さて、ヴィンテンス、デュク・ドゥ・モンターニュを醸造してるネオブュル社。
ノンアルワインだけでなくノンアルコールビールも造っているのです。
ビア・デザミ・ブロンド0.0%
店:デザミのご案内が来た時に、あれ?どっかで見た社名だなと思ったら、既にノンアルワインで先にお世話になってたんですよね。
小:オレンジピール使ってるところがベルギービールらしさを感じさせますけど、その柑橘の香りとほのかな軽い乳酸の香りが早速ベルギービール感を期待させてくれます。
店:いわゆるブロンドよりはかなりライトでラガーっぽくもあるけど、やっぱりフルーティーさが備わってて、ベルギービールらしさを感じますよね。
小:スッキリ、爽快だけど、食事の邪魔をしない程良いエールらしさが充実感をもたらしてくれますね。
ノンアルワインも良くできてると思ったけど、ビールもさすが!
ベルギービール好きもノンアルとは言え納得してくれそう。
店:ベルギーってやっぱり醸造技術が高いんでしょうね。
って事でミッケラーのノンアルコールビール2種、ミッケラーはデンマークなんですけど、
実はこちらもベルギーの某醸造所で造られてます。
ドリンキン イン ザサン
店:いきなり、グレープフルーツの香り。
小:マンゴー、パパイヤ、ピーチのようなトロピカル系の香りもありますね。
店:グレープフルーツフレーバーがしっかりだけど口当たりが柔らかくて飲みやすいよね。
小:ほんのりと甘みもあるし、でも穏やかな苦みもあって飲みやすいですね。
店:ノンアルコールなのにアメリカンウィートIPA飲んでる!って錯覚しそうです。
クラフトビール好きの方が絶対好きなヤツ!って感じ。
ヘンリー ライトリー ゴーゼ
店:ゴーゼは塩、コリアンダーを使った伝統的な酸味のあるビール。
小:サワーエール好きにもノンアルコールがあって幸せですね。
コリアンダーのスパイシーな香りに、レモングラスとか胡椒みたいな香りとかフレーバーがありますね。
店:グレープフルーツ、ライム、スダチ、レモンみたいな酸味のあるフレーバー、ゴーゼらしい乳酸の酸味もちゃんとある。
小:お口の中からビールがいなくなってから、塩っけを感じますね。
味わいにいろんな要素があって、スパイシーと酸味で、何だかタイ料理の事を思い出しました、クセになります、これ。
店:何だかエビが食べたくなってきた。エスニックフードと一緒に飲みたいですね。
インプロージョン
店:これはデンマークのトゥオールのノンアルコールビールです。デンマークで造られてます。
小:グレープフルーツ、文旦みたいな淡い色合いの柑橘のイメージかな。
店:ピーチ、ライチのようなほのかな香りやフレーバーも感じられます。
ドリンキン イン ザサンに似てて、やっぱりアメリカンウィートエールの感覚でしょうか。
小:それでいて苦みも程良くあって、ホップフレーバーも苦みもちゃんと楽しめる仕上がり!
店:以前のノンアル記事で紹介したコンクスはやや酸味が感じられるペールエールでしたけど、インプロージョンはそういう部分が控えめですね。
小:見た目もオシャレ!
店:これだけ飲んでもシラフ!素晴らしい!
小:ワイン系はやっぱりNONの個性が際立ちますね。あれこれフレーバーを言いたくなるのはベルギービールを飲んでる時に近くて楽しくて。
店:特別な時の1本ですよね。これに合うお料理ってなんだろうって色々妄想膨らみそうだし。
小:でもデイリーに飲めるのも良くできてて、ほんとに飲めない時にこういうのがあるのを知っておくのは損じゃないですよ。使える!
店:実際にノンアルビールを持って車で外に出かけた事があったけど、やっぱりいつも自分好みのお酒が飲みたい人間なのですごく便利だなって思いました。
一緒に飲んだビール好きの友達も味に関しては納得してくれてましたし。
小:今日のテイスティングしたものに関しては、こだわりやさんの選択肢に入れてもらってもいいですよね。
ただお値段の事を考えると、やっぱり高いよね、ってなっちゃうけど、特にビール。
店:私の場合は車で出かけるのがしょっちゅうある事でもないけど、今日は車で出かけても飲めるぞー!しかも好きな味!って思うとなんかうれしい。
その時の満足感はやっぱり違うな、と。
小:いつでもお酒を飲めたら最高だけど、そうできない時でも自分の味わいたいものだと気分的に違いますよね。
ジュースじゃないんだよ…大人なんだよ…、みたいなね。ほんとはジュース飲んでるんだけど。
そういえば車と聞くと店長が飲んだノンアルコールビール、厳密に言ったら0.3%の表示があるけど、ノンアルコールって一体なんなんでしょうかね?
と、そこへ社長登場!(テイスティングしているのをいいなぁ~~って遠くから見てたっぽい)
三輪社長(以下:社)ベルギービールのエキスパートでもあるけど、長年続く酒屋の店主でもあるからね。
それについてお答えしましょう!
社:まず、酒税法の第2条で、酒類は「アルコール分1度以上の飲料」と定義されています。
したがって、ノンアルコール飲料とは、含有アルコール量が1%未満の飲料です。
ビールに関しては2000年代前半まではノンアルコールビールの呼称・表示が使われていたんだけど実際にはアルコール分が1%未満の商品もあったんだよね。
それだと消費者が「アルコールが全く入ってないビール!」と勘違いする可能性があるので、2004年5月26日に公正取引委員会が表示適正化の指導要望を出し「ビールテイスト飲料」などの呼称・表現に変わっていきました。
ビールって表現が入るとアルコールのイメージが想起されるから、かな。
「ビールテイスト飲料」にはノンアルコールビール・ビアテイスト飲料・ビール風味飲料・ノンアルコールビールテイスト飲料、清涼飲料水という表現も使われてます。
酒税法等で決められているものではないので、いずれの表現でもOK。
0.00~1.0%の間で度数の差があるけど、それと表現は特に関係ないです。
メーカーごとに判断だと思うけど、最近では「微アル」と名付けたところもありますね。
ノンアルコールドリンクで酒気帯び運転・飲酒運転になるほどに酔う、という状況は相当な量を飲まないとなかなかあり得ないことです(本当にアルコールに弱い人はその限りではない可能性がありますが)。
それでも、何事も節度を持った飲み方が大事、と言う事です。
店:なるほど、節度ですね・・・
小:今回も色々飲みましたけど、どれも良くできてるってつくづく思いました。
こだわり度、食事、シチュエーションに合わせてノンアルコールもいろいろ選べる時代ですね。
それって普段私たちがベルギービールを飲む時みたいな感じですよね。
店:やっぱり選択肢があるって事は良い事。
ノンアルコールやローアルコールはこれからもシェアが増えそうだから注目しておかないと。
小:BJでもノンアルコールのカテゴリーを作ったことだし。
店:わたし用に色々新しい商品の仕入れ、よろしくお願いします。
小:お客様に喜んでもらえるように新しい商品、仕入れます!
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