社長日記

2023年5月12日、トラピストビールを醸造するオーストリアのエンゲルスツェル修道院(Stift Engelszell)は、解散することを発表していました。
ビールやリキュールの製造のについてはまだ先行きがわかりませんでしたが、2024年1月31日に発表された、International Trappist Association の最新のトラピスト製品のリストから、エンゲルスツェル修道院(Stift Engelszell)が除外されました。
醸造所は稼働しているようですが、修道士たち修道院を去ったことでATPラベル認証の条件を満たさなくなったことが理由だと思われます。

エンゲルスツェル修道院は、2012年にATPラベル認証を受けて以来、ビール以外にもリキュールがATPラベル認証を受けていました。
2023年5月には、テイスティングルーム「Klosterpforte」をオープンさせたばかりでした。
また詳しいことがわかりましたらまたお知らせします。

エンゲルスツェル修道院(Stift Engelszell)
https://www.stift-engelszell.at/

これで、Trappist®の商標を使用してビールを販売しているトラピスト修道院は世界で11ヶ所になりました。
そのうち ”Authentic Trappist Product” のロゴマークを付けることができるビールを醸造している修道院は9ヶ所です。

Authentic Trappist Product(ATPラベル)について
International Trappist Associationでは、以下の3つの厳格な基準を満たしている商品についてのみATPラベルの使用を許可しています。(ビールの場合)

・トラピスト会修道院の敷地内にある醸造所内で醸造されること。
・醸造はトラピスト会修道士の監督の下で行われること。
・ビールによる収益は、修道士の生活のため、そして修道院の維持のために割り当てられること。
残った場合は慈善団体や、困った人々に与えること。

トラピストビール(Authentic Trappist Product)の生産者は下記の9ヶ所です。(2024年2月現在)

●ベルギー
Westmalle(ウェストマール:ウェストマール修道院)
Rochefort(ロシュフォール:サン・レミ修道院)
Orval(オルヴァル:オルヴァル修道院)
Chimay(シメイ:スクールモン修道院)
Westvleteren(ウェストフレテレン:シント・シクステュス修道院)

●オランダ
La Trappe(ラ・トラップ:コニングスホーヴェン修道院)
Zundert(ズンデルト:マリア・トゥーフラフトゥ修道院)

●イタリア
Tre Fontane(トレ・フォンターネ:トレ・フォンターネ修道院)

●イギリス
Tynt Meadow(ティント・メドウ:マウント・セイント・バーナード修道院)

※ATPラベルを付けた商品は、ビール以外にもチーズ、クッキー、チョコレート、はちみつ、リキュールなどがあります。

◯日本で購入できる、トラピストビール
https://www.belgianbeer.co.jp/products/list.php?category_id=38

新しい醸造所のご紹介シリーズもこれで一段落となります。


最後に登場するのは、イクスイクスビター、グーデンベルグ、セゾンドッティニーなどの銘柄で知られる、デ・ランケ醸造所です。

木屋が初めて輸入を開始した2006年から取引のあった、リンブルグ州のケルコム醸造所
近年は、オーナーのマルク氏の体調が思わしくなく、複数の醸造所に委託するようになっていました。
ところが、マルク氏の意向が醸造に反映されないことが徐々に増え、ストレスを溜めていたようです。


ケルコム醸造所のマルクさん(中央)、デ・ランケ醸造所のニノ(右)さん。

そこで、デ・ランケ醸造所のニノさんに協力を求めたところ快諾してくれたため、全面的に醸造を委託することになったのです。
デ・ランケ醸造所は1994年から、ケルコム醸造所は1999年から、と同じような時期にスタートしたこともあり、2人は以前から仲が良かったそうです。

2022年8月から委託醸造が開始されたと聞いて、さっそく醸造所を訪問してきました。

醸造所内もニノさんに詳しく案内していただきました。

すべてのビールにベルギー産の原料が100%使われています。
ホップはペレットを使わず、生のものを使用しています。
私の知る限り、そうした醸造所はこのデ・ランケ醸造所とウェストマール修道院だけです。
ホップ専用の冷蔵庫には、11種類ものホップが丁寧に保管されていました。

原材料、醸造工程ともにとてもこだわりがあり、妥協のない姿勢が感じられました。
ここから数々の素晴らしい製品が生み出される理由が良くわかった気がしました。

熟成用の木樽。

今回、あらたにデ・ランケ醸造所で造られることになった7アイテム他、試飲させていただきました。
どの銘柄もかなりクオリティが高くなったことを実感しました。

中でも、唯一の新製品として醸造されたのが、ビンク・ブランシュケです。
ビンク・ブロンド、ブラウン、アデラルデュス・ダブル、トリプルは本当に久しぶりの輸入となります。
新しくなった、ビンク、そしてアデラルデュス、ぜひお試しください!
※ブルーセム・ビンクのみ、旧製品がございますが、順次デ・ランケ醸造のものに切り替わる予定です。

デ・ランケ醸造所の製品はこちら

木屋では今後、デ・ランケ醸造所からはケルコム社ブランドの製品のみ輸入します。
ケルコム社ブランド以外の銘柄は、これまでどおり正規輸入代理店のEVER BREWさんのお取り扱いになります。

このたび、新しいクラフトビール醸造所 ヘドニスから初めて輸入を開始することになりました。

今年の3月にベルギーに行った際に訪問してきました。

ゲントの南、オーデナールドに近い、ブラーケルに位置しています。
オーデナールドはリーフマンス醸造所がある場所です。

快楽主義を意味するヘドニスと名付けられた醸造所は、2015年にスタートしました。
Hedonis Ambachtsbierは、ヘドニス クラフトビール、という意味です。

2022年9月に現在の場所に移転。
2023年2月からは、Siphonのブランドを継承しています。

実は、残念ながら昨年閉鎖となってしまった、シフォン醸造所(Siphon Brweing)のブランドをヘドニス醸造所が引き継ぐ事になったため、ご縁ができたのです。

まだ、新しい場所に移って1年ですが、現在の醸造設備はシフォン醸造所で使用していたものがそのまま使われています。

シフォン醸造所(Siphon Brweing)閉鎖による終売のお知らせ

ということで、まもなくシフォンのビールも再販売開始予定します!

シフォンの2アイテムを含め、8種類ティスティングしてきました。

今回、ヘドニスの銘柄としては、5種類輸入しています。

ぜひお試しください!

ヘドニス醸造所のビールはこちら

このたび、新しいレッド・ビール醸造所 ザ・ブリュー・ソサエティ(SOSAB)から初めて輸入を開始することになりました。
2020年からレッド・ビール造りに挑戦している、まだ新しい醸造所です。

今年の3月にベルギーに行った際、さっそく訪問してきました。

醸造所は、西フランデレン州のコルトレイクに位置しています。
同じくレッドビールのドゥシャス・デ・ブルゴーニュで知られる、ヴェルハーゲ醸造所から車で20分ほどのところにあります。

ザ・ブリュー・ソサエティは、2016年に設立された新しい醸造所。
当初はプライベート・ブランド専門でしたが、2019年から独自のビールの醸造をスタート。
現在は、Martha, Seven Sins, そしてSour Alesと、さまざまなブランドを持っています。

そのうち、SOSAB(Science Of Sour Ale Brewing)では、2021年から西フランデレン州伝統のレッドビールを醸造しています。
レッドビール醸造は趣味的な位置づけ、と言っていましたが、かなり広い敷地で本格的に造られていました。

ジュネヴァやコニャックの樽。

奥にはベルギー限定の、ウィスキーやバーボン樽を使用したものも。

社長のヴィヨルンさん。
とても陽気で話し好き。情熱たっぷりの人です。

最後にティスティングをしながらの商談。
レッドビールを含め、全部で6種類のビールを試しました。

今回は、サワービールのみ、3種類輸入することになりました。

フレミッシュ・レッドエール 330ml

オーク樽で12ヶ月熟成させたビールとブラウンエールをブレンドしています。
Ⅻは、ローマ数字で「12」という意味です。

赤みがかった、透き通ったブラウン。
酢のような酸味を感じさせる香り、ブラックベリー、パッションフルーツ、プラム、りんごのようなフルーティーな香り、カラメルのような香りも感じられます。

口に含むと、乳酸を思わせるさわやかな酸味が広がります。
サワーチェリーやベリーの風味を感じさせるフルーティーな味わい。
後味はすっきりしていて口の中が引き締まります。

このビールは、ワールド・ビア・アワード2023において、ワールド・ベスト・フランダース・レッドエールに選ばれ、さらに最高の栄誉である、ワールド・ベスト・サワー&ワイルドビアに選ばれました。

XX ペール・グランクリュ 330ml

オーク樽で20ヶ月熟成させた、ブロンドエール。
XXは、ローマ数字で「20」という意味です。

ややオレンジがかった、透き通ったアンバー。
泡立ち、泡持ちともにとても良い。

白ぶどう、レモン、りんご、プラム、洋梨、白桃のようなフルーティーな香り、オーク、バニラ、キャラメルのような甘さを思わせる香りも感じられます。
口に含むと、りんごや白ぶどうを思わせるフルーティーな酸味が広がります。
やがて、オークやバニラのような風味も現れます。
とてもなめらかでふくよかな味わい。
後にフルーティーな酸味が長く続きます。

このビールは、ワールド・ビア・アワード2023において、ワールド・ベスト・サワー&ワイルドエール部門で金賞を受賞しました。

Ⅸエヒテ・クリーク 330ml

エヒテ クリークは、本物のチェリービールという意味。
Ⅸは、ローマ数字で「9」という意味です。
現在では希少な存在となっている、スカールベーク種のチェリーを使用、木製の樽で9ヶ月間浸漬しています。

透き通った、鮮やかなルビーレッド。
チェリー、ラズベリー、いちごのようなフルーティーな香り、酢のような酸味を感じさせる香り、バニラやアーモンド、ナッツのような香りも感じられます。
口に含むと、チェリーのさわやかな酸味、甘み、渋みがバランスよく広がります。
とてもフルーティーでジューシーな味わい。

このビールは、ワールド・ビア・アワード2023において、ワールド・ベスト・クリーク部門で銅賞を受賞しました。

 

各商品の説明にも書きましたが、2023年8月24日発表された、ワールド・ビア・アワード2023において、今回輸入した3種類のビールすべてが受賞したとのうれしい知らせが届きました!

ワールド・ビア・アワード(WBA)年に1回開催されている、ビールの世界的コンペティションです。
10個のカテゴリーに設けられたスタイル毎に、Round 1、Round 2の審査が行われ、Round 3の最終審査で各カテゴリーのベストビールが選出されます。

Round 1では各国の代表を決めます。各カテゴリーに設けられたスタイルごとに各国のスタイルの代表「カントリーウィナー」が選出されます。
その後、Round 2で各国の「カントリーウィナー」を獲得したビールをスタイルごとに審査し、「ワールドベスト・スタイル」が選ばれます。
最後のRound 3ではこの「ワールドベスト・スタイル」同士を各カテゴリー内で審査し、最終的に10カテゴリーにおける「ワールドベスト・ビール」が決定します。

今回、XX ペール・グランクリュ が、ワールド・ベスト・サワー&ワイルドエール部門で金賞を受賞!(ワールドベスト・ビール)
フレミッシュ・レッドエール が、ワールド・ベスト・フランダース・レッドエールに選ばれ、さらに最高の栄誉である、ワールド・ベスト・サワー&ワイルドビアに選ばれました。(ワールドベスト・スタイル)
そして、Ⅸエヒテ・クリークも、ワールド・ベスト・クリーク部門で銅賞を受賞しています。(カントリーウィナー)

ぜひお試しください!

このたび、新しいランビック醸造所 ケステモントから初めて輸入を開始することになりました。
2010年代後半から次々に誕生しているランビック醸造所、そしてブレンダーですが、このケステモントもそのうちの一つです。

今年の3月にベルギーに行った際、さっそく訪問してきました。

醸造所がある、ディルベークは、ランビック醸造所が集まる地域にあります。
リンデマンス醸造所から車で5分ほどの場所です。
徒歩圏内に、デ・ネーヴ、エイレンボッシュなど、かつて操業していたランビック醸造所がありました。

ケステモント醸造所は、もともと1968年まで操業していたランビック醸造所、グーセンス醸造所の場所にあります。
2016年にこの土地と建物をケステモント家が購入しました。
ケステモント家はもともとグーセンス醸造所の近くで暮らしていて、現在のオーナー兼ブルワーはランビックの醸造所を間近に見ながら育ちました。

2019年から、Den Herbergの原酒を使ってブレンダーとしてスタート。
2021年3月から自社での仕込みを開始し、最初のランビックが木樽に入れられ熟成が始まりました。
2022年9月から最初のビールを販売開始しました。

中庭に設置されたクールシップ。

仕込み室。

ランビックの醸造、樽熟成、ブレンドは18世紀に建てられた古い納屋の中で行われます。
現在、1階にはデン・ヘルベルグのランビック、2階には2022年12月に導入された樽が設置されています。

1968年まで操業していたランビック醸造所、グーセンス醸造所の跡。
博物館にする計画があるとのこと。

オーナー兼ブルワーのリアス・ケステモント氏(右)と父フランシスは、オーナー兼CEOのウィム・クリーケマンス(中央)と醸造所を共同所有しています。
リアスとウィムは義理の兄弟でもあります。
※リアスさんはものすごいイケメンでした。

ウィムさんとフルーツ。
醸造所では自社でほとんどのフルーツを栽培して、ランビックに使っています。
ホップはポプリンゲ産のものを使用しています。

造られる製品はセルティシス(旧エコセール・ベルギー)認定を受けています。
写真の4つのマークのうち、一番右。

※セルティシス
ベルギーの有機製品認証機関のひとつで、EUの基準に基づいて認証を行っている。
認証を受けるためには、最低3年間、化学肥料、除草剤、農薬を使用しないことはもちろん、土壌検査や保管場所のほか、多くの厳しい基準を満たす必要がある。
また毎年1回査察を受ける義務があり、それに合格した製品だけがセルティシスのマークを表示することができる。

可愛らしいラベルは版画で印刷したものをスキャンして作られています。

今回は、写真の3種類をティスティングさせてもらいました。
グーズは今年の夏以降に出来上がる、ということで、年末までには輸入する予定です。
詳しいことはまたその際に。

夏からは見学コースも設置されるとのこと。
次回はツアーで訪れてみたいです。

そして、これが今回唯一輸入できた、ケステモント・オード クリーク スカールベーク 375ml

以前は醸造所のあたりで広く栽培されていましたが、現在では希少な存在となっている、スカールベーク種のチェリーを使用したクリークです。
ケステモント醸造所では、自社の畑で有機栽培したものを100%使用しています。(今後、3~5年ほどかけて、さらに300本を植える予定にしています。)
このランビックには、1リットルあたり400グラムのスカールベーク種チェリーを使用しています。

醸造所では通常フルーツを漬け込む際、ステンレスタンクを使用していますが、このスカールベークだけは木樽に漬け込んでいます。
木樽由来の素朴な風味を感じていただけると思います。

オレンジがかった、ややにごりのある濃いめのルビーレッド。
チェリー、ブラックベリーのような赤い果実の香り、桜餅の葉のような香り、バニラやアーモンドのような香りも感じられます。

口に含むと、チェリーのフレーバーをともなった、生き生きとした酸味が広がります。
とてもシンプルで、ほのかな甘味、塩味も感じられるバランス良い味わい。
あとで舌の上で心地よい渋みが続きます。

ぜひお試しください!

ベルギービールの世界で大切な人が亡くなりました。

5月16日(火)、リーフマンス醸造所の元取締役で、ベルギー最初の女性ブルーマスターとして知られるローザ・メルクス氏(98歳)が自宅で亡くなりました。

1946年に秘書として働き始め、1950年からブルーマスターとなり、有名なリーフマンス・グーデンバンドの醸造にも携わりました。
1972年、醸造所オーナーの死後、彼女はリーフマンス醸造所の経営を引き継ぎました。
その後、経営を離れたものの、2008年にデュベル・モルトガット社に引き継がれた後、再びリーフマンス醸造所に戻りました。

リーフマンスのラベル(写真)には、彼女の長年の功績を讃えて、シルエットが描かれています。
また、グーデンバンドなど、すべての紙巻き包装には彼女のサインが記されています。

彼女はリーフマンス醸造所のすぐそばに住んでおり、しょっちゅう醸造所に顔を出し、ティスティングを欠かさなかったそうです。

写真は2014年にローザ・メルクスさんのご自宅を訪ねたときのものです。
この時はたまたま買い物に出られていて、残念ながらお会いすることができませんでした。
お元気なうちに会いに行きたかったのですが、それが叶わず残念です。

ご冥福をお祈りします。

リーフマンス醸造所
https://www.belgianbeer.co.jp/ct/brewery/liefmans/

Rosa Merckx (98), former director of the Liefmans brewery and first brewmaster in Belgium, has passed away
https://www.nieuwsblad.be/cnt/dmf20230517_93898173

ヘルシンキを経由して、10:00頃ブリュッセル到着。

ホテルに着いて、アーリーチェックインをお願いするも、冷たく断られる。仕方がない。
長旅で疲れているし、外は嵐のような雨なのでどうしようか迷ったが、自分を奮い立たせて出かけることに。
スーツケースを預け、カメラと財布だけ持って外へ出た。

目的はカンティヨン醸造所。
ホテルの最寄駅からメトロで3駅ほどなので、さっそく最寄り駅へ行くと、なぜか閉鎖されている。
おかしいなぁ、と思いながら、ひとまず次の駅まで歩く。
すると、その駅も閉鎖されている。

なぜ閉鎖されているのかもわからず、もう一つ先のGare de Midi(ブリュッセル南駅)まで歩くことにした。
Gare de Midiは、国際駅にもなっている大きな駅なので、何かわかるだろうと思ったのだ。
予想通り、ここにきてようやく事情がわかった。
よりによってこの日は全面ストライキが行われており、メトロは全線運行停止になっていたのだ。

仕方がないので暴風雨の中、さらに1駅分歩いてカンティヨン醸造所に向かった。

カンティヨン醸造所。
前回、当店も参加したズワンズデー直前で訪問したので、3年半ぶりとなる。
事前にアポイントの連絡を入れていたが、社長のジャンさんは今日ベルリンに出張に出ていて留守とのこと。

いつものように一人で見学を始めたが、醸造所はひっそりとして見学者もほとんどいなかった。
こんなカンティヨン醸造所を見るのも初めてかもしれない。
好きなだけ写真を撮ったりしながらゆっくり周った。

最後にバーに行くと、意外にも多くのお客さんで賑わっていた。

まず、1杯目は見学者用のランビック。
その後、限定品の”Grenache Noir 2021”と”LDH2019”を注文。

”Grenache Noir 2021”は、鮮やかなルビーレッド。
まさにグルナッシュの風味があり、きいちごなどベリー感もたっぷり。
酸味は控えめで複雑さもないが、とても美味しく飲めた。

”LDH2019”は、Lambic d’Haute Densiteの略で、そのな名の通りアルコール度数がとても高く、9%ある。
にごりのある、黒みがかったガーネット。
バターのような甘い香り、シェリーやマディラのような味わい。

長旅の疲れもあるのか途中まで飲んでかなり酔いが回ってしまい、全部飲めるかなぁ、と考えていたところ、向いの席に座っていた若いカップルが声を掛けてきた。
昨年の”Zwanze2022”を大瓶で頼んだが、2人で飲みきれないので一緒にどうですか?とのこと。
ちょっと迷ったが、ボトルでは飲んだことがなかったので、お言葉に甘えて1杯いただくことに。樽詰めよりもゴリラペッパーの風味を強く感じた。

2人はアメリカから観光でやって来たカップルだった。
ティスティングしながらメモを録ったりしていたので、よほどのマニアかと思われたみたい。
ベルギービールを日本に輸入しているんだ、という話をすると、さっそくベルギービールJapanやBEER BOUTIQUE KIYAのSNSを検索して、良いお店だね!とお褒めの言葉をいただいた。

そうしていると、ジャンさんの妹でマネージャーのマガリーさんがわざわざ探しに来てくれた。いろいろお礼を伝えて、そろそろ帰ることに。

外に出るとまだ冷たい雨が降っていて風も強い。
いちおうGare de Midiまで行ってみたが、やはりメトロは動いていなかった。
あきらめてホテルまで歩くことにした。

ホテルに着いたのは17時近くだったのですぐにチェックイン。
荷物を整理して、近くのデレーズで買い物をし、ようやくシャワーを浴びて一息ついた。


2019年9月以来、約3年半ぶりのベルギー。
初めての夜発のフライトということもあり、なんとベルギーの到着日を勘違いするというミスがあったが、直前に気がついてなんとか便を変更。

今回は羽田空港経由だったが、欧州に向かう便が多いのかラウンジも混雑している。
食事は以前のように自由に取ってくるのではなく、オーダーを入れて、並んで受け取るシステムに変わっていた。
コロナを経ていろいろ変わっているようだ。

23:50 離陸。行きはJAL便。
ロシア・ウクライナ情勢の影響で、日本出発後、アラスカやグリーンランドの上空を経てヨーロッパに向かうため、約13時間と以前より4時間ほど余計にかかる。

ちょうど2年前の今日、次の記事を書きました。
アヘル修道院から修道士が去ったため、トラピストビール(Authentic Trappist Product)は世界で11ヶ所に

現在、Trappist®の商標を使用してビールを販売しているトラピスト修道院は世界に13ヶ所あります。
そのうち ”Authentic Trappist Product” のロゴマークを付けることができるビールを醸造している修道院は10ヶ所です。

このたび、アヘル修道院はビジネスマンのJan Tormans氏に売却されることになった、というニュースが入ってきました。
醸造所はこれまで運営を管理していたウェストマール修道院と関係が断ち切られることになります。

2年前、アヘル修道院から修道士がいなくなったため、醸造しているビールに”Authentic Trappist Product”のロゴマークを付けることができなくなりました。
ただし、ビールはこれまで通りウェストマール修道院の管理下で醸造され、Trappist®の商標を使用してビールを販売していました。
しかし、今回の売却によってTrappist®の商標も使用することができなくなります。

トラピストビールが失われるのは残念ですが、修道院を購入する予定のJan Tormans氏は、敷地内での醸造業務を拡張する計画を持っているとのこと。今後の動きを楽しみにしたいですね。

アヘル修道院
https://www.belgianbeer.co.jp/ct/brewery/achel/

アヘル修道院の売却が完了すると、Trappist®の商標を使用してビールを販売しているトラピスト修道院は世界で12ヶ所になります。
そのうち ”Authentic Trappist Product” のロゴマークを付けることができるビールを醸造している修道院は10ヶ所です。

Authentic Trappist Product(ATPラベル)について
International Trappist Associationでは、以下の3つの厳格な基準を満たしている商品についてのみATPラベルの使用を許可しています。(ビールの場合)

・トラピスト会修道院の敷地内にある醸造所内で醸造されること。
・醸造はトラピスト会修道士の監督の下で行われること。
・ビールによる収益は、修道士の生活のため、そして修道院の維持のために割り当てられること。
残った場合は慈善団体や、困った人々に与えること。

トラピストビール(Authentic Trappist Product)の生産者は下記の10ヶ所です。(2023年1月現在)

●ベルギー
Westmalle(ウェストマール:ウェストマール修道院)
Rochefort(ロシュフォール:サン・レミ修道院)
Orval(オルヴァル:オルヴァル修道院)
Chimay(シメイ:スクールモン修道院)
Westvleteren(ウェストフレテレン:シント・シクステュス修道院)

●オランダ
La Trappe(ラ・トラップ:コニングスホーヴェン修道院)
Zundert(ズンデルト:マリア・トゥーフラフトゥ修道院)

●オーストリア
Engelszell(エンゲルスツェル:エンゲルスツェル修道院)

●イタリア
Tre Fontane(トレ・フォンターネ:トレ・フォンターネ修道院)

●イギリス
Tynt Meadow(ティント・メドウ:マウント・セイント・バーナード修道院)

※ATPラベルを付けた商品は、ビール以外にもチーズ、クッキー、チョコレート、はちみつ、リキュールなどがあります。


Authentic Trappist Product以外のトラピストビール生産者は下記の2ヶ所です。(2023年1月現在)

●フランス
Mont des Cats(モンデカッツ:モンデカッツ修道院)※スクールモン修道院で醸造。

●スペイン
Cardeña(カルデーニャ:サン ペドロ デ カルデーニャ修道院)※マルパル醸造所で醸造。

◯日本で購入できる、トラピストビール
https://www.belgianbeer.co.jp/products/list.php?category_id=38

トラピストビール ウェストフレテレンのビールは、75年以上に渡って、ビールと生産者に関する法的に必要なすべての情報が王冠に記載されていましたが、2022年8月13日より再びラベルが貼付されることが発表されました。

トラピストビール ウェストフレテレンのラベルは、第二次世界大戦にはすでに貼られていました。
第二次世界大戦終戦直後の1946年、ウェストフレテレンのビールはシント・ベルナルデュス醸造所で商業用にライセンス生産されることになりました。
修道院内でも引き続きビールの生産は行われていましたが、こちらにはラベルが貼られなくなりました。
それは、1992年にシント・ベルナルデュス醸造所でのライセンス契約が終了したあとも続いていました。

修道院では、消費者にできる限り十分な情報を提供するという方針のもと、ラベルの再導入を進めることを決定しました。
ラベルは王冠を様式化したもので、タイプによって3つの種類があります。
ブロンドは緑、8 は青、12 は黄色です。(これまでの王冠と同じ色)

新しいラベルには、ビールの名前、法的に必要な表示、記号、アレルゲンに加え、3か国語で表記された原材料のリスト、栄養成分表示、シント・シクステュス修道院のロゴ、QRコードが含まれています。
QRコードのリンク先には、オランダ語、フランス語、ドイツ語、英語の4か国語で、詳しい栄養成分表示を閲覧することができます。

 

◯トラピストビール ウェストフレテレン 宅配サービス開始(ベルギー国内のみ) 2021.01.21
https://www.belgianbeer.co.jp/ct/blog/7142/

◯トラピストビール ウェストフレテレンの販売が電話予約からウェブサイト予約へ 2019.06.17
https://www.belgianbeer.co.jp/ct/blog/7137/

◯トラピスト・ビールとは
https://www.belgianbeer.co.jp/ct/knowledge/type/trappist/

日本で購入できる、トラピストビール
https://www.belgianbeer.co.jp/products/list.php?category_id=38

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