2018.06.22
Geuzestekerij De Cam(デ カム)まとめ
De Cam(デ カム)のカレル・ゴドー氏(Karel Goddeau)と初めて会ったのは、2007年3月のこと。
スラッグムルダー醸造所にて(2007.3.5)
カレルさんは、当時弊社が取引していたWitkapで知られるSlaghmuylder(スラッグムルダー)醸造所の醸造責任者でした。
初めて訪問した際、身振り手振りを交えながら熱心に醸造所内を案内してもらったことをよく覚えています。
実は最初はそんな縁から、デ カムの日本への輸入がスタートしました。
デ・カムは、Gooik(ゴイック)という小さな村にあります。
1700年代、ドゥゴティニという醸造士がここで醸造を開始したと伝えられています。
そのときの醸造所のマーク「3つのハンマー」がGooikのシンボルにもなっており、村の中心にもハンマーのオブジェがあります。
デ カムは1997年にウィレム・ヴァン・ヘルウェーゲン(Willem Van Herreweghen)氏によって立ち上げられたブレンダーです。
ブレンダーとは、複数のランビック醸造所から麦汁を購入し、自らの設備でブレンドしたり、サワーチェリーを漬け込んだりして製品化する生産者のこと。
デ カムとは、昔のオランダ語で農家、醸造所を意味しています。
デ カムにて(2010.7.27)※ここでも「3つのハンマー」見つけられますか?
2002年からデ カムはカレルさんに委ねられました。
彼は15年以上もの間、平日はスラッグムルダーで働いたあとの夜1時間程度、そして週末にデ カムで働いていました。
この頃は午後8時に寝て、午前1時に起きて仕事をするという毎日で、なんと1日14時間も仕事をしていたそうです。
2018年1月、スラッグムルダー醸造所を退職し、現在はデ カム専業となっています。
ブレンドに使うランビックは、ブーン、ジラルダン、リンデマンス、ドゥリー・フォンティネンの各醸造所から。
使用している樽は、チェコのピルスナー・ウルケルで1800年〜1995年にかけて使われていたもので、もともと40klだったものを解体、組み立てなおし、1klの樽(50本)として使用しています。
他に、フルーツ・ランビック用に2,500リットルのステンレスタンクが4本あります。
6〜7ヶ月熟成させたランビック1,500リットルに1,000キロのクリークを漬け込み、1年間熟成させます。
木の樽で行うとクリークを取り除けなくなってしまうという理由でステンレスタンクを使用しています。
カレルさんが吹いているのは、1400〜1500年代のゴーイックの伝統的な楽器、「ドゥーデル・ザック」。
ブリューゲルの絵にも登場しているそうです。
これまでにも何度かカレルさんの演奏を聴かせてもらいました。
「ストゥンプル」というステンレス製の道具。
80年〜100年ほど前のもので、今はなかなかお目にかかることができません。
このストゥンプルは、お店でランビックを提供する際、角砂糖を入れてそれを砕くために使っていました。
飲み手が味を調節しながら飲んでいたのですね。
ストゥンプルといえば、ベルギーでは「ランビック・ストゥンプルス」という愛好家のグループがあり、毎年8月末にはランビックのお祭りを開催しているそうです。
カレルさんの自宅にてティスティング(2015.11.19)
弊社では2013年の初め頃まで細々ながら輸入を続けていたのですが、さまざまな事情によりそれ以降ストップしていました。
その間にデ カムの評価はどんどん上がっていき、少量生産ということもあってベルギー国内でも入手困難な銘柄になりました。
以前、ベールセルにある「De Lambiek」というランビックに関するビジターセンターに行った際、「デ カムを日本に輸入しています。」と話すと、担当者に、「デ カムはベルギーでも手に入らないんだよ。よく輸入できたね!」と驚かれたことがあります。
カレルさんはよくこう言います。
「トラピストビールを始めとするベルギービールは約3週間でできる。私の造るランビックはその52倍の時間と労力をかけてでき上がる。もっとリスペクトされるべきだ。」と。
自分の作り出す製品にものすごいプライドを持っています。
JBPAベルギーツアー2018で訪問(2018.2.7)
2018年2月には、一般財団法人 日本ベルギービール・プロフェッショナル協会のベルギーツアーで訪問。
滞在中にもカレルさんとミーティングを行い、この度約5年ぶりに輸入再開することになりました!
ぜひこの機会にデ カムの素晴らしい味わいをお試しください。
今回輸入するのは、オード・ランビックとオード・グーズの2種類です。
デ・カム オード・ランビック
3年樽発酵のストレート・ランビック。
オレンジに近い、透き通った明るいアンバー。泡はほとんどありません。
グレープフルーツ、レモンのような柑橘系の香り、すももや白桃、青りんごのようなフルーツの香り、樽からの新木のような香り、ヴァニラのようなほのかに甘みを思わせる香りもあります。
グレープフルーツのようなフレーバーをともなった、丸みを帯びた上品でなめらかな酸味が感じられます。
後にレモンやグレープフルーツのような心地よい渋みが長く続きます。
デ・カム オード・グーズ
1,2,3年ものをブレンドしています。
オレンジがかった、ややにごりのあるゴールド。とても泡持ちが良い。
レモンのような柑橘類の香り、白ぶどう、白桃、アプリコットのようなフルーツの香り、パッションフルーツやマンゴーなど甘みを感じさせるトロピカルフルーツのような香りもあります。
口に含むと、レモンやグレープフルーツのようなフレーバーを伴った、生き生きとした酸味を感じます。
あとにグレープフルーツの内果皮のような心地よい苦味が続きます。