2001.11.07
5日目その3:デ・コーニンク醸造所へ
デ・コーニンクのロゴの元になった関所跡
午後4時45分ごろ、本日最後の訪問場所であるデ・コーニンク醸造所に到着。もう薄暗くなってきている。
少々遅かったので入り口ではもうアントワープの公式ガイドであるファン・アイク氏(あの有名な画家と同じ名前だった!)が待ち構えていた。
挨拶もそこそこにすぐ醸造所内へ。ここは本で読んだような古い設備で造られているのかと思ったら、現在は既に使われていないとの事。1996年までは古い設備で醸造していたらしい。
移動途中にデ・コーニンクのロゴマークにも使われている、手のひらを模った石像が目に入った。ファン・アイク氏がこの手のひらとデ・コーニンクのロゴマークについて解説してくれた。
デ・コーニンクのロゴマークには王冠の下に左に建物の絵、右に手のひらの絵がある。この左の建物はアントワープの町を意味しているそうだ。右の手のひらについてはこうだという。
昔、醸造所の隣には関所があった。その関所には手のひらの絵が彫ってあった。そのためかつてこの醸造所は”hand”と呼ばれていたそうだ。なんとも面白い話だ。
かつての醸造器具、ホップの濾過器
現在の設備!
コントロール・ルーム
古い醸造設備を一通り見学した後、現在の醸造設備のある部屋へ。扉を開けるとそこにはあまりにも予想外の最新の設備を見ることができた。今までの醸造所では見ないほど清潔で、コンパクトにまとまられた設備だった。設備内には最新のコントロール・ルームもあり、ここですべての工程を制御している。このような最新の設備が、ビールが大きく移動せずもっとも無駄がないということだった。
醸造所内のゲスト用カフェ
その後醸造所内のゲスト用カフェへ。ここでファン・アイク氏に醸造所についてのいろいろな話を聞かせてもらった。
年間生産量は15000kl、週に4回、1日4回の仕込みで1回当たり16klの仕込を行っている。
生産量のうち約半数は輸出されている。中でも35%がオランダ、そのほかフランス、スペイン、イギリスに輸出されている。驚いたことにロシアのサンクトペテルスブルグではライセンス生産されているとの事だ。
また醸造所ではアントワープ市内に150軒の直営カフェを持つ。マルクト広場のデン・エンゲルなど看板を掲げているところはほとんど直営店のようだ。こうしたおかげでアントワープの人は皆デ・コーニンクを飲んでいるのだろう。
ビール醸造のほかにも酒類問屋デヴァルク(国内3位)、不動産会社パディコンなども経営している。
いろいろな話をしているうちにずいぶん時間も経ってしまったのでファン・アイク氏に挨拶して醸造所を後にした。今日は3つの醸造所訪問で皆相当疲れていたのだが、ここまで来てカフェに行かないわけには行かない。
ペルグリムで酵母を頼んだ
こちらはペルグロム
まず醸造所すぐ前のカフェ「ペルグリム」へ。とても古いスタイルのカフェだ。店員のおばあさんが一人で走り回っている。ここでは本で読んだデ・コーニンクの酵母をさっそく頼んでみた。おばあさんが言うにはこれを最初に一気に飲んでからビールを飲むのだという。恐る恐るやってみるが、これがまずい!苦くて飲めたものではなかった。
ビールを1杯だけ飲んで次のカフェへ。大聖堂のすぐ近く、今度は「ペルグロム」へ。ここは96年にきたときにも皆で行った事のある懐かしい店だ。ここは5~6軒の昔の家屋の地下室をぶち抜いて造ってある洒落た店だ。ここでプライベート・ブランドのビール(スターケンズ製)、ステーキなどを楽しんだ。
しかし本当に今日は疲れてしまった。帰った時間も忘れるくらいで、すぐに寝てしまった。
※この日サベナ航空の倒産が発表された。