醸造所訪問記
2007.03.06
6日目その2:コントレラス醸造所
醸造所を出ると外は激しい雨だったが、せっかくなのですぐそばにあるベギン会修道院で咲いているスイセンを見に行くことに。
1245年に建てられた、世界遺産にもなっている修道院。
ここは未亡人となった人や政略結婚から逃れる人が逃げ込むための女性だけのコミュニティ。
かつては各地にあったが現在でも続いているのは(本当に女性たちが生活している)、ここブルージュくらいだという。
質素で厳粛な雰囲気が漂う修道院内。
ここでは決して大きな声や物音をたててはいけない。
黄色いスイセンが美しく咲いている。
■コントレラス醸造所へ
ブルージュを出発して次に向かったのは、当初予定には無かったコントレラス醸造所。
実は3日前に訪れたZYTHOS BIERFESTIVALで社長に会い、一緒にいたVさんも近所で昔から知っていたことから急遽訪問することになったのだ。
コントレラス醸造所は1818年創業の小規模醸造所。
現在は先代の娘婿であるフレデリック氏が後を継いでおり4代目にあたる。
50年前から使用している仕込釜。
今では多くの醸造所で使われなくなった昔ながらの冷却機を今なお使用している。
パイプの中には地下水が通っており、下に下りて来るまでに約80℃の麦汁は20℃近くにまで冷却される。
なんと1955年に仕込んだクリークを試飲。
丸く深みのある味わい。
ここでは、Tonneke、Valeirなどいくつかの銘柄を醸造している。
試飲した中では、今ではめずらしいMarsがかなり秀逸で自分好みだった。
左から、先代、私、フレデリックさん。
いずれ日本にもぜひ紹介したいビールだった。
午後5時半頃醸造所を出発。
銀行や、Vさんの子供たちの学校に寄って6時過ぎにVさん宅に到着。
うれしいことに昨日に続いてこの日も夕食に招いてもらったのだ。
7時前にご主人が帰宅された。
しばらく話をしていると、なんと明日から2週間、オーストラリアと日本に出張だという。
偶然にも日本では同じイベントに参加する予定になっており、後日再会することがわかった。
本当に世間、いや世界は狭いと思った。
しばらくして子供たちと一緒ににぎやかな夕食が始まった。
この日の料理はウサギ肉のビール煮込み。
そのビールとは、ドゥシェス・ド・ブルゴーニュ。
性格には、ラ・パン・ア・ラ・ドゥシェス・ド・ブルゴーニュ。
今日もわざわざ私のためにベルギー料理を作っていただいて感激。
鶏肉にも似た味わいで、ドゥシェス・ド・ブルゴーニュとの相性も最高だった。
8時半頃、ご主人に宿まで送ってもらった。
別れ際に来週、日本での再開を約束した。
醸造所訪問記
2007.03.06
6日目:ドゥ・ハルヴ・マーン醸造所
■ドゥ・ハルヴ・マーン醸造所へ
午前7時半起床。
本来は9時頃スタートしてブルージュを観光する予定だったが、雨が激しいので10時スタートに変更。
ちょうど会社との連絡事項が色々あり、片付けることができた。
ほぼ予定通り11時にドゥ・ハルヴ・マーン醸造所に到着。
さっそくオーナーのザヴィエル・ヴァネスタ氏と初対面。
若くておとなしそうな感じの人だった。
このドゥ・ハルヴ・マーン醸造所は、1988年にリヴァ・グループのデ・スプレンテル一族に買収され、醸造所の名前もハルヴ・マーンからストラッフェ・ヘンドリック醸造所になった。
メインの銘柄であるストラッフェ・ヘンドリックはその後2002年までブルージュで醸造された。
醸造所は町の人々や観光客に解放され、見学コースやカフェはとてもにぎわうようになった。
特に醸造所の屋上からはブルージュの町が一望でき、最高の展望。
実は新婚旅行のときにもここに来たことがあった。
2002年、リヴァ・グループのデ・スプレンテル一族が醸造部門を売却。
この時点でストラッフェ・ヘンドリック醸造所の操業も停止されることになったが、ストラッフェ・ヘンドリックブランドとそのレシピの権利はリーフマンス・ブルワリーズグループが引き継いで所有し、デンテルゲムで造られることになった。
3年間の醸造停止期間を経て2005年、ザヴィエル・ヴァネスタ氏(6代目に当たります)が醸造所を買い戻し、醸造を再開。
彼の父方の一族であるヴァネスタ一族も、1983年までブルージュでグーデンブーム醸造所を操業していた醸造一家。
彼は独自のレシピを開発し、「ブルッグス・ゾット」として販売を開始。
今日ではこの「ブルッグス・ゾット」がブルージュで醸造されている唯一のビールとして、町中の人々に愛されている。
さっそくヴァネスタ氏と一緒に醸造所内の見学。
再開して2年ほどのこの醸造所では現在600klのビールが醸造されているが、近々2倍の量に増やすとのこと。
こちらはまだ新しい発酵タンク。
2005年に醸造を再開した際に設備されたもので、1本20klの容量がある。
屋根裏にはかつての醸造器具や、瓶、看板などを展示するコーナーもあった。
製麦所の跡。
現在製麦所の跡が現存しているのは、ローデンバッハ醸造所とここだけだそうだ。
屋上からの展望。
ブルージュの町並みが一望できる。
新婚旅行依頼の眺めだった。
かつて使用していたクールシップ(冷却槽)。
醸造所から見える運河。
かつてはここから原料を運んでいた。
見学が終わったあと併設のレストランへ。
なんとここで「三輪さん!」とどこからか聞こえてきてびっくり。
声のほうへ言って聞いてみると、古くからの当店のお客様であるSさんご夫妻だった。
ちょうどベルギーに旅行に来ていて、たまたま私を見つけてくださったとのこと。
すごい偶然で驚いた。
さっそくヴァネスタ氏と打ち合わせ。
その前にまずはブルージュ唯一のベルギービール、ブルッグス・ゾットで乾杯。
打ち合わせも順調に終了し、午後3時頃醸造所を後にした。
醸造所訪問記2007.03.05
2日目その2:デ・ライク醸造所
■デ・ライク醸造所へ
スラッフムールダー醸造所を出て、近くのレストランで昼食。
おいしいパスタをいただいた。
午後2時頃レストランを出て、40分ほどでデ・ライク醸造所に到着。
まずはアンさんともろもろの打ち合わせ。
その後、新たに導入したという瓶詰め機のラインを見学させてもらった。
じつはこれまで瓶詰めは手作業によるもので不安定なものもあったが、今回イタリアから新しい機械を導入。
200mlから1500mlまでの容量の瓶詰めを行うことができる。
ふと横を見ると、なんと日本(当社)向けの貨物でした。
まもなく出港予定。
今回の瓶詰め機では、まず瓶の空気を抜き、二酸化炭素を入れ、今度は酸素と二酸化炭素を抜き、最後に再び二酸化炭素を入れるという念の入れ様。
気圧も通常より高めにしてそこにビールを詰めていく。
打栓の前にはノズルから90℃の熱湯を吹きかけ瞬間的に泡を立て、ほんの少し残った空気までも取り除くことができるようになっている。
水分が入らないか心配になって聞いてみたところ、まったくその心配は無いそうだ。
これで少しでもビールが酸化するのを防ぐことができる。
ラベル貼り機。
表、裏、肩の3ヶ所に貼ることができる。
1回で約9,000本の瓶詰めが可能。
最後にアンさんたちと。
いろいろ話をしているうちにあっという間に3時間が過ぎた。
今夜はVさんのお宅で夕食をお世話になる予定だったので、5時40分頃出発、6時過ぎにはVさんのお宅に到着した。
広くて、暖炉や庭のある典型的なベルギーのお宅で、日本人にはとてもうらやましい。
しばらくするとご主人が帰宅。
3人の子供たちと6人でにぎやかな食事が始まった。
メニューは、オニオンスープ、牛肉のカルボナード(ウェストマールで煮込んでくださったそうです)、ポテト、リンゴパイなど。
数日前にVさんが何気なく「何か食べたいものある?」と聞いてくださったものがそのまま出てきて感激。
わざわざ私のために用意していただいたようだった。
楽しそうな子供たちはうちの子と同世代。無邪気で本当にかわいい。
にぎやかな食事も終わり、Vさんに宿まで送ってもらう。
部屋の無線LANの調子がおかしいので、奥さんに相談。
「もしよければ家でやってもいいわよ。」とのことで、なんと自宅にまで入れていただいた。
どうもパワー不足のようだ。
2007.03.05
5日目:スラッフムールダー醸造所
■スラッフムールダー醸造所へ
午前7時半起床。
どうも無線LANの状態が悪く、今朝はネットに接続できない。
9時には出発し、スラッフムールダー醸造所には約束の10時ちょうどに到着した。
これまで窓口になってくれていたブリジット・ヴァン・クッツェムさんが出迎えてくれた。
彼女はこの醸造所の5代目の子孫に当たる。
醸造所の責任者であった叔父のミシェル氏が3ヶ月前に突然亡くなり、現在ブリジットさんが子孫として後を継いでいるそうだ。
たまたま2日前のZYTHOS BIERFESTIVALでも会っていたが、偶然にも同行しているVさんと同級生だったとのこと。
世間は本当に狭い。
まずはスラッフムールダーの歴史や醸造に関するビデオを見せていただいた。
1862年にエマニュエルが醸造開始。
以前はニノーヴの街中にある修道院の敷地内にあった。(醸造所の窓から見ることができる)
1925年に現在の場所に移転。
当時は下面発酵のビールのみを醸造していたが、現在はウィットカップを始めとした上面発酵のビールを醸造している。
ビデオを見た後は、醸造責任者であるカレル・ゴドー氏に交代。
なんと彼はランビックのデュ・カム醸造所の醸造士でもある。(詳しくはまたの機会に)
粉砕機。
フランドル地方に1軒だけ残っているディンゲマンス製麦所のものを使っている。
冷却器。
開放式の発酵槽。
衛生上の問題で中に入ることはできなかった。
仕込釜。
煮沸釜。
他の醸造所にもあるような、古い醸造器具などを展示したコーナーがあり、試飲できる設備もある。
ここには現在は使っていないが、1910年から使用していたというスチームエンジンも展示してあった。
ここでウィットカップをはじめ、5種類ほどのビールを試飲。
試飲中にものすごい勢いで雹が降ってきて驚いた。
左から、ブリジットさん、私、カレルさん。
醸造所訪問記2007.03.02
2日目その3:ヒューガルデン醸造所
その後向かったのは2年半ぶりとなるヒューガルデン醸造所。
目的はオープンしたばかりのビジターセンター「’t Wit Gebrouw」に行くため。
どんな内容になっているのかとても楽しみ。
これが入り口。
まずはヒューガルデンの歴史の説明から。
黄色いボタンには「smell」と書いてあり、オレンジ・ピールやホップなどの香りを嗅ぐことができる。
これはなかなか面白いアイディアだ。
また、こうして実際に原材料に触れることもできる。
さあ、奥へ!
醸造行程の説明。
ここではオランダ語、フランス語、英語で解説されていて、ボタンを押すと該当部分が点灯する仕組みになっている。
醸造設備も展示されている。
樽の真ん中の穴を覗くとクイズが。。。
見学コースはこれで終了。
最後にヒューガルデンにまつわる背景をつかって撮影する機械が置いてあり、撮影したものをE-mailで自分のアドレスに送ることができる。(プリクラみたいな感じでしょうか)
これはなかなか面白く、何回も撮って楽しんだ。
料金の中にはビール1杯分の価格も含まれているので、さっそくひさしぶりのレストラン「Kouterhof」へ。
レストランに入ったのは午後4時半頃。
相変わらずの店内だった。
喉がからからに渇いていたので、Hoegaaden Specialeを注文。
軽く打ち合わせ。
午後6時過ぎには出発したのだが、大渋滞で宿に到着したのは午後9時前。
風呂には何とか入れたが、何もするきが起きずそのまま就寝。
■’t Wit Gebrouw
営業日:火曜日~日曜日
営業時間: 10:00~20:00
入場料:6ユーロ(大人)、12歳以下は無料
入場チケット売り場:併設レストラン「Kouterhof」
住所:Stoopkensstraat 24A, 3320 Hoegaarden, Belgium
電話番号:016-767433
メール:[email protected]
醸造所訪問記
2006.11.08
7日目その2:ボーレンス醸造所、ケルコム醸造所
■ボーレンス醸造所へ
宿に忘れ物をして途中で戻ったせいもあり、約束より遅れて11時頃ボーレンス醸造所に到着。
いつものようにオーナーのクリス・ボーレンス氏が出迎えてくれた。
再度、ひととおり醸造行程などの説明を受ける。
これは移動可能な発酵タンク。
気温が高いときには直接冷水のシャワーをかけて温度を下げる。
モルトのかすを運び出す作業中。
その後クリス氏と商談を済ませて醸造所を後にした。
■ケルコム醸造所へ
ボーレンスを出発した後、Waaslandという地元の大きなショッピングセンターを見学。
ここでついついフリッツ揚げ器を衝動買いしてしまった。(どうやって持って帰るんだ???)
ちょうどお昼時だったのでショッピングセンター内のレストランでパスタを食べる。
順調に東へ車を走らせ、午後4時過ぎにケルコム醸造所に到着。
ここでも再び醸造所行程について説明をしてもらった。
(話に熱中して写真を撮り忘れました)
初めて入れてもらった地下室。
ここは25℃の温室になっていて、出荷前の2週間はここで熟成される。
昔の名残がある地下室。
中央のレールを使ってビールを地下まで運んでいた。
オーナーのマルク氏と。
同じポーズをとってみた。(笑)
夕食を誘っていただいたのだが残念ながらお腹がいっぱいだったので、代わりにパンとチーズを出してもらった。
最高の状態のビンク・ブロンド、ウィンテルコニンクスケを楽しみながら商談終了。
その後車でブリュッセル・ミディ駅まえのホテル・イビスまで送ってもらった。
明日はいよいよ楽しみにしていたフリー日だ。
2006.11.07
6日目:デ・モール蒸留所、デ・ライク醸造所
■デ・モール蒸留所へ
6時頃起床。
早めに食事を済ませた後、8時過ぎにはロビーに下りた。
皆さんが帰国するため、昨夜は空港に近い”Courtyard by Marriott Brussels”というホテルに泊まっていた。
ここで皆さんにはあと3日間自分だけベルギーに残ることを告げてお一人お一人にご挨拶。
午前9時頃、皆さんが乗ったバスを見送った。
昼頃までは時間が空いていたので溜まっていたメールのチェック、会社や自宅への電話など、有意義な時間を過ごすことができた。
午後2時頃、デ・モール蒸留所へ。
前回訪れたあと分からなかったことなど、もう一度当主のパトリック・ヴァン・スカンデヴェイル氏に解説してもらった。
アランビックと呼ばれる小規模の蒸留システム。
樽で熟成されるものもある。
ここデ・モール醸造所は、原材料の穀物の準備から最終製品化までを自分で行なう伝統的手作り蒸留所。
「好きだからこそやっている」というパトリック氏の情熱が伝わってきた。
詳しくはこちらを。
■デ・ライク醸造所へ
デ・モール蒸留所を出発した後、それほど遠くない場所にあるデ・ライク醸造所へ。
午後5時の約束だったが40分ほど遅刻して到着。
いつものようにオーナーのアン氏が出迎えてくれた。
写真のスペシャル・デ・ライクは2006年にシカゴで行なわれたワールド・ビアカップ2006の「ベルギー・フランススタイルのエール」部門で銅賞を獲得している。
ワールド・ビアカップ受賞仕様のグラスも用意されていた。
こちらは新しいブランド、”Gouden Arend”。
“Gouden Arend”はもともとこの醸造所の名前でもあったが、アン氏の曽祖父がドイツで修行した醸造所に由来して付けられた名前だったため、第一次世界大戦以降は使われていなかった。
それをこのたびブランドとして復活させることになったのだ。
いろいろな話をしたあと、地元ヘルゼールの町のレストランで一緒に食事。(といっても車で1分くらい)
ここではもちろんスペシャル・デ・ライク、そしてクリスマス・ペールエールなどを会話とともに楽しんだ。
■初めてのB&B
この日の宿はベルギーでも初体験のB&B。
“De Volle Maan(やぎの牧場)”という名前の宿で、本当にやぎの牧場とチーズ工場の中にあるかわいい建物だった。
一人で泊まるのはもったいないくらい広くてかわいい部屋だった。
(というか本当はあまりにも静かで怖かった・笑)
2006.11.06
5日目その1:オルヴァル(醸造所編)
■オルヴァル修道院へ
午前6時起床。
食事、片づけを済ませて7時50分に出発した。
今日はブルージュからフランス国境に近い、オルヴァル修道院までの長旅。
ベルギーの端から端へと移動することになる。
車中では大阪のTさん、Uさんと仕事の話などしながら楽しく過ごした。
が、まもなく気分が悪くなってきてしまい、そのまま眠ってしまった。
休憩を取りながら3時間ほどバスに揺られて11時45分頃ようやく到着。
オルヴァル修道院を訪れるのはこれで7年ぶり3回目。
昨年、当店に来店くださった輸出担当のデ・ハーレンさんが出迎えてくれた。
「昨年はご来店どうもありがとうございました。」などとさっそくご挨拶。
まずはオフィスのトイレを順番にお借りすることになったのだが、その間に皆さんからデ・ハーレンさんにいろいろな質問が出た。
オフィス前のショーケースには、歴代のグラスやコースターなど興味深いものがいっぱい。
7年ぶりといっても醸造所の中に入るのはなんと10年ぶりだったのだ。
そしてお楽しみの醸造所見学。
まずはデ・ハーレンさんからオルヴァルの歴史についてのお話を伺う。
階段を上ると10年ぶりの釜とご対面。
この銅製の釜は1950年から使われているものだが、2007年に新しいものに取り替えられるそうだ。
煮沸釜の向こうには十字架が架けられている。
次に発酵タンク。
ここには20klのジャケット付きタンクが6本あり、4日間の一次発酵が行なわれる。
そして地下には二次発酵用のタンク。
こちらは横向きになっている。
現在、10klのものが28本、20klのものが6本ある。
ここではオルヴァルの味わいを作り出す、最も重要な行程、ドライホッピングが行なわれる。
写真のような網の袋には生のホップが詰められており、これを袋のまま二次発酵中のビールに投入するのだ。(この写真はK社Nさんよりお借りしました)
瓶詰めライン。(右端がデ・ハーレンさん)
こちらは2005年に新しいものに変えられたとのこと。
モルトガットと同様、クローネス社のものだ。
なんと一日で40kl、約12万本のオルヴァルを瓶詰めすることができるそうだ。
ここで瓶内発酵用の酵母と糖が加えられる。
最後に15℃の熟成庫で3週間の瓶熟成が行なわれる。
デ・ハーレンさんによれば、瓶詰め後2ヶ月目、そして8ヶ月目に味わいの変化があるそうだ。
瓶詰めの際に加えられる複数の酵母のうち、ブレタノミセスは働きが遅く、一方サッカロミセスは働きが早いという理由から。
ちなみにブレタノミセスはランビックでおなじみの野生酵母。
オルヴァルの特徴でもある、ランビックと共通する香りが感じられるのはこの酵母のおかげなのだ。
また、この酵母はサッカロミセスが食べないデキストリン(糖)を食べるため、あの独特のドライな味わいになるのだ。
いやー本当にベルギービールは面白い。
醸造所訪問記2006.11.04
3日目その1:カンティヨン醸造所
■ジュ・ド・バル広場の蚤(のみ)の市
6時半起床、7時に朝食へ。
食事が終わってロビーに出ると5~6人の方がロビーに座っていて、ジュ・ド・バル広場の蚤(のみ)の市に行くというので、便乗することにした。
実は2年前に少しだけ素通りしたことがあったのだが、ぜひまた行ってみたいと思っていたからだ。
8時頃再びロビーに集合して徒歩でジュ・ド・バル広場に向かった。
ノートルダム・ド・ラ・シャペル教会
広場へは歩いて15分ほど。
途中、ノートルダム・ド・ラ・シャペル教会を通り、閉まっている店舗のショーウィンドウなどを見物しながら歩けばすぐだった。
開店準備中の出店者たち
ちょうど店開きの準備をしている店が多く、出店者だけでも賑わっていた。
いろいろ見て回ったが、「こんなもの売れるの??」というような、びっくりするようなものまで並べられていて面白い。
蚤の市というよりガラクタ市、または廃品市といった感じ。
めずらしいグラスも
皆それぞれ自分のお目当てのものを探して歩き回っていたが、そのうち1軒面白そうな店を見つけた。
一応目星を付けておいて、後で再び訪れてみた。
私の目当てのものはベルギービールのグラス。
金縁のステラ・アルトワのグラス
めちゃくちゃ汚かったが、見たことのない珍しいものをいくつか発見。
(グラスの持ち帰りは3個までだからな!)と自分に言い聞かせながら、結局5ユーロで2個購入。
店番の若者、包装中
一緒に品物を物色していた大阪のTさんも珍しい洋酒の水差しを発見したようで、かなり高額な買い物をしていた。
ただ交渉しようにも、店番の若者は英語がまったく通じない。
こっちだってそう喋れるわけではないのだが、数字さえ通じないのにはさすがに参った。
日本人に英語で話しかける外国人もこう思っているんだろうな~と実感。(笑)
そうしているうちにかなり時間が経っていたので、寒い中急いでホテルに戻った。
■カンティヨン醸造所へ
カンティヨン醸造所
ホテルに戻るともう9時過ぎ。
急いで準備をして集合場所へ。9時半にはバスで出発した。
目的のカンティヨンはすぐ近くなので10分少々で到着してしまった。
案の定、扉は閉まっており中には誰もいない。
待つこと20分少々でようやくジョン氏が出勤してきた。
私たちもバスを降りて醸造所の中へと入った。
ヴァン・ロワさんの案内で見学
遅れてヴァン・ロワさん登場。
いつもの調子で醸造所の見学がスタートした。
冷却層
屋根
熟成樽
ろ過
ここでグーズのブレンドが行なわれる
瓶詰めしたばかりのクリーク
ここも個人的には今回で5回目の訪問。
今年に入ってだけでも2回目の訪問になる。
今回は自分の聞きたい質問が1~2問あったので、それを投げるタイミングだけ計りながら、あとは通常の説明を聞いたり、撮影をしたりしていた。
見学中は、さすがプロの皆さんだけあって興味深い質問が次々に出てとても勉強になった。
私個人の質問も、ヴァンロワさんから期待通りの答えを聞くことができ、とても満足だった。
しかしヴァンロワさんは何回お目にかかっても熱い人だ。
ランビックについて話し出すと話が止まらない。
今回もヴァンロワさんのランビックに対する愛情と情熱を感じた。
最後はティスティング
結構ゆったりと時間を使いながら最後の工程を見学した後、恒例のティスティング。
今回はブルオクセラ2003、グーズ、クリークなどが出された。
カンティヨングッズがいっぱい
その間買い物したい人はマリーさん(ヴァン・ロワさんの奥さん)に注文。
たくさんの人がいる割にはのんびりしているが、商売気がなくてかえって微笑ましい。
醸造所訪問記
2006.11.03
2日目その2:ベルビュー醸造所
■ベルビュー醸造所
ベルビュー醸造所 以前はなかったと思われる看板
午後1時30分頃ベルビュー醸造所到着。
しかしこちらも約束よりちょっと早かったため中には入れなかった。
さすがベルギー人。(笑)
時間までちょっとカフェでビールでも、、とバスで向かったが残念ながら目的のカフェはお休み。
入り口すぐにあったクラシックカー
結局一回りして醸造所に再び着いた頃に約束の2時になった。
ここに来るのは2年ぶり、2回目。
醸造所内
案内役のリナさんの説明でさっそく醸造所内の見学が始まった。
(⇒店主のベルギー訪問記その5 第3日目その2 参照)
もともとのオーナーであったヴァンデンストック家は現在ベルギーのサッカーチームのスポンサーとなっており、チームのスタジアムはヴァンデンストック・スタジアムというのだそうだ。
この左奥の階段から見学コースはスタートする
今は使われていない冷却槽
冷却槽の屋根
熟成庫
見学の途中、ソムリエKさんが「なぜランビックを熟成させる木樽の穴は四角形になっているのだろう?」という疑問を持たれた。
自分としても、気にしたこともなかったので理由は知らなかったが、樽を造る職人のビデオを見ていたときにその答えが分かった。
樽を造る際に最後に両端のフタの部分をはめ込んでいくのだが、それを内側から鉄の棒を使ってテコの原理でしっかりとはめ込んでいくためだったのだ。
内側といっても側面に開けた四角形の穴から棒を入れるので、四角でないといけなかったわけだ。
Kさんの疑問のおかげでまた一つ新たなことを知ることができた。
バー内の飾り VAN’t VATは樽生の意味
ベル・ヴュークリーク・エクストラ樽生
見学が終わったあとは、併設のゲスト用バーでベル・ヴュークリーク・エクストラ樽生の試飲。とっても甘かった。
なかなかお代わりを頼む方も出ず、午後4時頃醸造所を出発した。
■グランプラスへ
グランプラス
4時15分、ホテル到着。
15分後には再びロビーに集合して、皆で歩いてグランプラス方面に向かった。
小便小僧、グランプラスを見学した後、ちょっとだけ自由行動。
ヴァレリーさんと一緒におもちゃ屋さんを見て回った。
おもちゃ屋さんを出て今度はいつものラ・ブティック・ド・タンタンへ。
ここでは毎回息子の服を買っているので、今回もさんざん迷った挙句カッコイイ服を購入。
ベルギービール専門店のビール・テンペルなどを一応のぞいて6時半に集合場所へ。
ギャルリー・サンチュベール
ここで皆さんが集ってくる間にヴァレリーさんのお話を聞いていた。
1年間大阪の大学に留学していた、とのことだったので、「どこの大学だったんですか?」と尋ねてみると、なんと僕と同じ大学だった。
皆揃ったので集合場所からすぐのところにあるおなじみシェ・レオンへ。
ここもブリュッセルに来ると毎回というくらい来ている。
2階に上がって、増設した店内をくねくね歩いて、今回予約していただいている個室に入った。こんな個室があるとは知らなかった。
今回はセットで予約してあるとのことで、まずはシェ・レオンのプライベート・ブランド生ビール。
トマトとエビの前菜の後、ムール貝。
やっぱり美味しい。
ここはあまりビールのメニューが豊富ではないので、次にグリムベルゲン・ダブルを注文。
8時50分頃お開き。
大半の方はこの後カフェに行ったが、私はかなり疲れが溜まっていたので同室のUさん達と一緒にホテルに戻った。
寝る前にメールチェックなどしようと思ったのだが、お土産にもらったデュベルを1本飲んだらどうしようもなく眠くなってしまい、そのまま寝てしまった。午後10時。
醸造所訪問記