2009.11.24

4日目その2:ロシュフォール~サン・レミ修道院

オルヴァル修道院を出て1時間少々で次の目的地である、ロシュフォールのノートル・ダム・ド・サン・レミ修道院に到着した。
じつはこの修道院に行けることがこのツアーに参加することを決めた最大の理由だったので期待に胸が膨らむ。

ちょうど10年前にもここを訪れているのだが、もちろん門のところまでしか行くことはできなかった。
ここはトラピス修道院の中でももっとも外部からの見学者に厳しいと言われており、これまで私の知り合いの中でここに入れたのはたった一人しかいないくらいなのだ。

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ノートル・ダム・ド・サン・レミ修道院は1230年に設立され、1460年までは女子修道院だった。
15世紀の終わりにフランスから男子修道士たちがやってきたため、1464年から男子修道院になった。

最初にビールの醸造を開始したのは1595年。
修道院はのちにフランス革命によって破壊されてしまうが、1887年に再建され、1899年にはビールの醸造も再開した。

現在修道士は13名。
年齢は40歳から83歳までで平均年齢60歳。
実際に醸造所で働いているのは修道士でなく、外部の人たち。

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左が醸造責任者のストレーニャル氏、右側がアントワーヌ神父。
マイケル・ジャクソンの本にも登場するアントワーヌ神父にお目にかかれるとは思ってもみなかった。
今回は幸運なことにすべての場所において撮影も許可された。

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さっそく醸造所に案内してもらうことに。
左側の建物は1668年に建てられた馬小屋。

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正面に見えるのが醸造所の建物。

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入り口には「Brasserie」の看板が。

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入り口を入ると、意外にもこうしたショーケースが置いてあり、古い瓶や、グラスに入れられたビールの原料などが展示されていた。

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こちらはこれまでのグラスの形状の変遷。
タンブラー型のものはここで初めて見た。

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聖アルノー。

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狭い階段を上って2階にある醸造所へ。

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ここが1960年代に造られたという醸造所。
壁には十字架がかけてあり、窓はステンド・グラスで飾られている。
手前から煮沸釜、仕込み釜、一段高いところにろ過釜。

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1回の仕込みは10kl(ロシュフォール6及び8)、10のみ7.5kl。
10klの水に対して大麦麦芽1,700kg、小麦125kgの原料が使われる。
水はトゥリデンの井戸水、麦芽はピルスナーとミュンヘンの2種類、ホップはスロベニア産、ハラタウ産の2種類が使われる。

仕込みは午前4時から開始。
マッシングはステップインフュージョン方式で、57℃まで温度をあげて35分、次に36℃まで下げて25分、最後に74℃まで上げる。

1952年から2009年までは1週間に4日間だけ仕込みを行うというルールがあったそうだ。

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ろ過された麦汁は別の部屋にある遠心分離機にかけられる。

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熱交換器で冷却された後、発酵の過程へ。

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発酵タンクの部屋に行くまでにある小さな博物館(通路)。
かつて使用していた道具や木箱などが展示してある。

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次に発酵タンクの部屋へ。

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現在の設備は2003年に新しく導入されたもの。
40klのものが2本と23klのものが1本、合計3本のタンクがある。
ここで4日間の一次発酵が行われる。

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次に熟成室。

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現在の設備は2007年に新しく導入されたもの。
27klのタンクが4本設置されているが、現在稼動しているのは2本のみ。
まだあと2本分、生産量の余力があるということだ。

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瓶詰前のビールに糖分と酵母を加える装置。
ここで加えられる酵母は主発酵(一次発酵)と同じもの。

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瓶詰ライン。
ここもやはり他と同様、ドイツのクローネス社のものを採用している。

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瓶詰は1週間に1回行われる。
ロシュフォール6と8は1時間に22,700本、ロシュフォール10は21,600本瓶詰することができる。

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次に2008年にできたばかりという熟成庫へ。

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ここでは瓶詰後21℃で2週間熟成が行われる。
約200パレットを収容することができる。

全工程で約1ヶ月かけてロシュフォールは出来上がることになる。

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醸造所の見学を一通り終え、別棟のティスティングルームへ。
ここはビールのティスティングに使われるほか、イースターやクリスマスのミサの後、ここに集ってコーヒーなどを飲む場所となっているそうだ。

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テーブルの上にずらっと並んだロシュフォール6、8、10、そして専用グラス。

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グラスにビールを注いでくれるストレーニャル氏。

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アントワーヌ神父も一緒に乾杯!

ここでは参加者の皆さんからたくさんの質問があり、とても和やかな雰囲気の中でビールを楽しんだ。

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日本にもそれほど多くは輸入されていないロシュフォール6は、やはりベルギーでも数が少なく限定になっている。
それは手間が掛かる割には価格が安く設定されているため。

ロシュフォール6を造る理由は、年に1度新しい酵母を使うためだそうだ。
ロシュフォール8や10などアルコール度数の高いビールで使うと酵母へのダメージがかかるため、比較的度数の低いロシュフォール6で酵母を育てるために造られているのだ。

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アントワーヌ神父に『ベルギービール大全』をプレゼントしたところ、とても喜んでいただき、お礼にロシュフォールの看板をいただいた。
これまでコースター以外の販促品は見たことが無かったのでこれは貴重品。その看板を持って一緒に記念撮影させていただいた。

なんと『ベルギービール大全』は修道院内の図書館に蔵書として置いていていただけることになった。

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楽しくお話しているうちにあっという間に時間が過ぎ、残念ながら教会を見学する時間がなくなってしまったが、その分アントワーヌ神父、ストレーニャル氏ととても有意義な時間を過ごすことができて大満足だった。

午後5時に修道院を出発。

■ロシュフォールの紋章について

上部の杖のような部分は、ビショップ「司教」の意味。
中央の傘または木のようなものは、宗教のレリーフで信仰を表すもの。
左側の星は、希望を表す。
右側の花は、バラで愛を表している。

 

  11回目:2009年11月21日~11月30日

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