2012.03.22

4日目(3):グーズリー・ティルカン

デュベルを出発して軽く食事をして、グーズリー・ティルカンへ。

ブレンダーである、グーズリー・ティルカンは、ブリュッセルから南西に車で40分ほどの場所にある。
ワロン地域とフランデレン地域の境目に近い場所にあり、ほぼワロン地域の北端に位置している。
ワロン地方(ベルギー南部)では唯一、デ・カム以来12年ぶりとなる、注目の若手ランビックブレンダー。

フランデレンでは、ブレンダーのことをグーズ・ステーケレイ(Geuzestekerij)と言うが、グーズリーとはピエールさんによる造語。

もともと銀行員だったピエール・ティルカン氏が2009年に創業。
彼は、ヒューグ醸造所でバイオエンジニアとして働いた後、ドゥリーフォンテイネンと、カンティヨンで経験を積み独立した。


ジラルダン、ブーン、リンデマン、カンティヨン4種のウォートを使い、1年もの、2年もの、3年ものをブレンドしている。
ランビックを熟成させるオーク樽はサンテミリオン、クローズ・エルミタージュからのものを使用。
年月がたつと味わいも変化する。


ブーン


リンデマンス


ジラルダン

樽の左側に書いてあるのは造った日。


カンティヨン

ブレンドするウォート(麦汁)をカンティヨンから仕入れられるのは、唯一彼だけ。
このマークはここでしか見ることができない。
HORALに参加していないカンティヨンと、HORALとの架け橋になりたいとの思いがある。
ブリュッセルのランビックとフランデレンのランビックをワロンでブレンドする、という意義。


ワインで使用していたものを再利用する。


ワインで使っていた樽

サンテステフ、サンテミリオン(左~銀)、エルミタージュ、クローズ・エルミタージュ(右~黒)。
中古でも生きているオーク樽が良い。
温水で3回も洗浄する。
2012年現在、400Lの樽が240本ある。


樽の中央から伸びているのは泡を取る器具。
3~4ヶ月はつけておく。


ブレンド。
樽10本分をブレンドしてグーズに。
この時点で5%減っているので補酒する。(年に1回)
少なくともすべてのランビックが10%以上は入っている。
(2012年現在は若いランビックが無いので、糖分を追加している)


瓶詰め後、18℃で最低3ヶ月熟成。
グーズは瓶詰め後、半年かかる。

ボトルの他、ステンレスケグ、キーケグもある。


ボトル上部にあるマークの意味。
ティルカンの名前にある、TILLEULは、小さなライムツリーの木という意味。
それでこのマークになっている。
横に書いてあるのは瓶詰の年。


クエッチ(後に日本にも輸入)
クエッチ(Quetsche)とは、一般に見かけるプラム(スモモ)Prune(プリュヌ・仏)とは区別されている。
ピエール氏の出身地ナミュールで育つ小さな梅。皮にも味がある。
ひとつひとつ手で種を取り出し、1リットルあたり250グラムのクエッチをグーズに漬け込む。
ステンレスタンクで最低4カ月かけて熟成させ、香りと成分を溶け込ませる。
写真は製品化前のもの。

ここには書けないような話もいろいろ聞かせてもらい、多くのランビックも試飲させてもらった。
ピエールさんは本当に誠実で良い人だった。

さすがに醸造所3軒周ってくたくた。
早めにホテルに帰って休んだ。

  14回目:2012年3月17日~3月28日

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