2009.11.26
6日目:ウェストマール
今日は3軒のトラピスト修道院を訪問する、とても忙しい日。
6時半起床、朝食を摂った後8時にバスが出発した。
9時にはウェストマールに到着。
ここに来るのは1年8ヶ月ぶり。
ただ前回はアポイントなしだったのでここまでだった。
いよいよ門が開いた。
ここからはガイドのナタリーさんによる案内。
ここでは撮影だけでなくメモすら禁じられることがある、と聞いていたのだが、ラッキーなことに今回は場所は限られるものの、撮影とメモは許可された。
まずは門を入って左側奥の教会のほうで修道院の歴史についての説明。
ウェストマール修道院は、1794年に設立された。
1836年にはトラピスト派修道院となり、同じ年にマルティナス・ドム(Martinus Dom)修道院長が小さな醸造所の建設を開始した。
長年にわたって修道院内のみでビールを消費してきたが、1856年からはり修道院の門のところで少量のビールを売りはじめた。
1921年からは商業用に販売することになり、販売が増加。
1930年代の初めには、新しい醸造所、発酵室、作業場などが作られた。
現在の醸造所のいくつかの建物は、その当時のもの。
ビールの醸造量は12,000klまでと決められており、それ以上は作らない。
現在修道士は23名で新たに6人の新人修道士がはいったそうだ。
新人の修道士が入るのはとても異例なことらしい。
現在は55歳の修道士が最も若く、あとは恒例の修道士が多い。
いよいよ仕込み室の中へ。
奥の壁には十字架。
一段高いところにあるのが仕込み釜。
その奥に研究室があるのだがそこは立ち入り禁止。
ここでは一日20klの仕込を行う。
水は井戸水を使用している。
こちらが煮沸釜。
ダブル、トリプルには煮沸中に液体のシロップが加えられる。
エクストラには何も加えない。
こちらがホップ(種類は秘密)。
ペレットで無く、生のものを使用している。
煮沸中に手で3回加える。
行程はすべてコンピュータで制御されている。
手を使うのはホップを投入するときのみ。
(醗酵室は立ち入り、撮影禁止)
仕込み室の反対側には発酵室があるが、入ることも撮影することも禁止。
発酵は20klの横に長いタンクのなか、約20℃で3日から1週間。
酵母は修道院の外で保管されており、約35週間使用する。
ここでウェストマールのグラスに入れられた実際の酵母を試飲?させてもらうことができた。
乳白色でフルーティーな香り、ピリピリとした酸と強い苦味を感じるものだった。
医者の処方箋があれば外部に販売することもあるそうだ。
仕込み室、醗酵室の建物を出て、入り口に近いところにある熟成室へ。
ここは2006年に作られたもので、12klのタンクが60本設置されている。
ここでは約10℃で4~5週間の熟成が行われる。
その後遠心分離機にかけられる。
2000年に改修が行われた瓶詰ライン。
1時間に45,000本のビールを充填することができる。
実際には月曜日から木曜日の午前中のみ稼動している。
ここでは社員が仕事をしやすいように、天井には騒音対策用のパネル、壁面はガラス張りにして明るさを取り入れるようにしている。
やはりここでもドイツのクローネス社製のものを使用している。
次に瓶詰後の熟成庫。
広さは3,500平方メートルあり、125,000ケースのビールを収容することができる。
照明はUVカットのものを使用し、品質に配慮している。
ここでは約20℃で3週間熟成が行われる。
全工程で約2ヶ月かかる。
ダブルが35%、トリプルが65%の割合となっている。
普段は330ml瓶のみの瓶詰だが、年末に限り750mlの瓶詰も行われる。
そしていよいよお楽しみのティスティング。
瓶詰ラインをさらに奥に行ったところにあるティスティングルームに案内された。
ダブル、トリプルに加えて、なんとエクストラの試飲も。
昨年はカフェでも飲むことができなかったのでうれしい。
ウェストマール・エクストラは流通ルートには乗らないビール。
黄色い王冠で、かつてはラベルもなかったが現在は写真のようなラベルが貼られている。
現在、修道士はほとんど口にしておらず、ゲスト用に提供されている。
オレンジがかった黄金色。
レモンのような柑橘系の果物の香り、ホップのさわやかな香り。
トリプルと味の方向性は似ているが、もう少し軽くて苦味、渋みがさわやかでバランスも良い。
アルコール度数は4.8%。
修道士たち自身が作っているチーズ。
とても量が少ないため、地元の人への販売のみとなっている。