2006.11.10

9日目:大事件発生!!

■これまでで最大の大事件発生

午前7時過ぎ起床。
8時46分発の空港行きの電車に乗りたかったので急いで準備をしたが、急な仕事のメールの処理に手間取ってしまい、フロントに下りたのがすでに8時30分。

幸いチェックアウトはすぐに済んだので、今度は大急ぎで駅に走って切符を購入。
こちらも幸いスムーズに行き、ホームに駆け上がったのが発車3分前。

(何とか間に合った!)と一安心していると、突然若者が話しかけてきた。
電車の発着時刻を示す電光掲示板を指差しながら何か言っているので、「僕にはわからない・・・」と両手を上に挙げるポーズを。。。

しかし(何かおかしいぞ)と思って、ふと足元を見るとパソコンを入れたバッグがない!!!
やられた!と思ってすぐにその若者を追いかけようとするが、25kg以上あるスーツケースを持っていてはどうしようもない。
すべては計画的な二人組による犯行で、しかもよくある手口だった。

意外にも冷静にバッグの中に入っていたものを思い出してみた。
メインのパソコン、日本の財布、カード類、IPodなど大事なものがいっぱいだった。
中でも特に大事なのが最終チェックを済ませたばかりの「ベルギービール大全」の原稿。
来週からどうしよう、と不安でいっぱいになった。
空港では人と待ち合わせていたのだが、連絡先もバッグの中だったのでどうしようもない。
幸い携帯電話を持っていたので、まずは会社に電話して状況を報告。
急いで駅の構内に戻り、警察を探すことにした。

すると突然、今度はブルース・ウィリス似の男が携帯電話で話しながら近づいてきて、「カズノリを見つけたぞ」なんて話している。
(こいつも怪しいぞ)と思ったが、電話が終わった男の話を聞いてみた。

男によると、自分は刑事。
置き引きの犯人は現行犯で捕まり、バッグも取り戻したという。
ちょうどKazunoriという名前の中国人(笑)を探していたところ、ここで見つけることができて、お前は本当にラッキーな男だ。
まずは一緒に駅構内の警察署に行こう、という内容。

一応、警察官のカードは見せてもらったが、あまりの急展開に信じることはできなかった。
というより、あまりにも話がうますぎる。
実はこの男も泥棒の一味で、このままどこかに連れて行かれて今度はスーツケースばかりか身ぐるみはがされるのでは・・・という心配が頭をよぎった。

でも、もしその話が本当だったら、と思い、わずかな可能性を信じ男についていった。
ふと男のバッグを見るとタリスの切符が入れてある。
(警察官なのになぜタリスの切符が・・・?)疑いは募るばかり。

いよいよ警察署と思われる場所へ。
男がカードを提示して入っていくが、提示した先にはチェックする人間は誰も居ない。ますます怪しいぞ。。。

そして中へ入った。
するとそこには制服を着たたくさんの警察官が忙しそうに動き回っていた。
男が本物の警察官だったことがようやくわかって一安心。
しかし肝心のバッグはまだ目の前に無かった。

最初は個室に通された。
マジックミラー越しに一人の男が座っていた。
おそらくこの男が僕のバッグを盗んだと思われるが、ヒゲ面のアラブ系の男で40代後半~50代くらい。
でも顔を見たわけではないので、正直に「この男は見ていない」と話した。

続いて別室で事情聴取。
どんな風にバッグを盗まれたのか、話しかけてきたのはどんな風貌の男だったか、など細部にわたって聴かれた。
次に自分の住所、電話番号、仕事内容、なぜベルギーに来ているのか、など。

すると別の警察官が僕のバッグを持って中に入ってきた。
「よく中を確認してくださいね」と警察官に言われ、ゆっくり中を確認したが、なくなっている物は何もなく、パソコンを始めとしてすべて無事だった。
本当に現行犯ですぐに捕まったということがわかった。

「一番大事だったのはこれなんじゃない?」といって警察官が「ベルギービール大全」の原稿を指差したところで、ようやく緊張が解けて笑顔が出た。
警察官も「僕はデュベルが好きなんだ」「頑張ってベルギービールを売ってね」などと、打ち解けて話をすることができた。

その後、ブルース・ウィリス似の警察官が空港行きの電車の時刻を調べ、わざわざホームまで見送ってくれた。
「あと10分くらいで電車は来るけど、今度は両手でしっかりバッグを持ってね。」といわれ、最後に「本当にどうもありがとうございました。」といって別れた。
本当に貴重な体験だったし、荷物が戻ってよかった。
普通、一旦盗られたらほとんど戻ってくることは無いそうだ。

9時33分に乗車。
今度はデッキのところでスーツケースに座って、荷物もしっかり両手で掴んでいた。
10時過ぎに空港駅に到着。
搭乗の時刻も迫っていたのでお世話になった方と少し話をした後すぐに中に入った。

ネットで情報は得ていたが空港でのセキュリティ・チェックはかなり厳しい。
ミネラル・ウォーターは没収、薬のチューブも1本1本くまなくチェックされた。
買わなくてはいけないお土産を急いで購入してゲートへ。

CIMG3588

11時25分フライト、12時55分コペンハーゲン着。
次のフライトまでかなり時間があるのでツボルグのダークビールを注文。
この空港ではユーロも使うことができるが札しか使うことができず、しかもおつりはデンマーク・クローネなのでめちゃくちゃ不便だ。
飛行機に乗る前に飲み物でも、と思ったが、札が無くなって買うことができず。

午後3時40分フライト、翌11月11日(土)10時40分成田空港到着。
なんとか無事に日本まで帰ってくることができた。

・・・・・

しかし今回は最後の最後に本当に大事件に巻き込まれてしまった。
普段から、よくある手口でじゅうぶんに気をつけているつもりだったが、慣れが油断を呼んでしまったと思う。
この後さっそくスーツケースとパソコンのバッグが一体になったものに買い換えた。

それと、後日ベルギーの裁判所から送られてきた手紙。

僕のバッグを盗んだ男の裁判の日程が書いてあり、出頭してもしなくても構わないし、弁護士を代理人にしても良い、というような内容。
もちろんこれだけのために行くことはないが、こんなのが送られてくるのも貴重な体験となった。

  8回目:2006年11月2日~11月11日

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