2007.03.07
7日目:アントワープ~書店めぐり~グランプラス
■アントワープへ
7時起床。
今日は1週間お世話になったB&B “Petrus Wittebroodhoeve”をチェックアウトする日だ。
いつものように朝食を済ませて奥さんに挨拶をした後、8時40分くらいに出発。
高速道路に入るといきなり渋滞していた。
退屈しかけたところでVさんがこんな質問をしてきた。
「ユーロは国によって裏のデザインが違うって知ってた?」
「えっ!?ぜんぜん知らなかった。本当?」と私。
Vさんはポケットから数枚の硬貨を取り出して、
「ほら、この硬貨を見て。これはオランダ、これはギリシャ、これは、、、そう、イタリアね!同じ1ユーロでもそれぞれ図柄が違うでしょ。」
といいながら数種類の図柄が異なる硬貨を見せてくれた。
これまで気にしたことも無かったが、ユーロを採用している国によって全部硬貨の図柄が違っているのだ。
「面白いな~。」と私が感心していると、Vさんが「このユーロ硬貨を国ごとにコレクションする本みたいなものがあるから、どこかで見つけてあげる。」と言う。
どんなものかイメージがわかなかったが、息子の土産に面白そうだな、と思った。
10時の約束が30分ほど遅れてアントワープの目的地に到着。
ここでは5日前にも打ち合わせをしたのだが、今回は急遽2回目の打ち合わせ。(内容はまだ内緒です)
お互いに満足のいく内容で、短時間で打ち合わせを終えることができた。
次に向かうのはブリュッセル。
約束の時間は11時だったが、アントワープを出発したのも11時だった。
■ベルギービール醸造家組合(BB)へ
45分ほど遅刻して次のアポイントの場所であるBrasseurs Belges:ベルギービール醸造家組合(以下BB)に到着。
ちなみにBBはグランプラスの市庁舎の並びにある、17世紀にはビール醸造業者のギルドとして使われていた建物の中に今なおある。
地下は現在ビール博物館として一般に開放されている。
グランプラス付近の駐車場に車を停め、急いでBBに向かった。
ちょうどアポイントの相手も打ち合わせが長引いているとの事で、少々待った後部屋に通された。
ここでお目にかかったのはBB理事であるフィリップ・モルトガット氏。
名前を聞いてお気づきの方もあると思うが、フィリップ氏は「デュベル」で知られるモルトガット醸造所経営陣の一人で、現CEOミシェル・モルトガット氏の兄上でもある。
実は今回の目的は出版されたばかりの『ベルギービール大全』を持っていくこと。
フィリップ氏からは本に対するお褒めの言葉とともに、今後本をBBにもおいていただける、とのうれしいお話をいただいた。
その後フィリップ氏のご厚意で会議室の見学。
ここから見るグランプラスの眺めは最高。
こんなところで仕事ができたらたまらない。
次に図書室。
ここにはBBの古い会報がすべて保存されているそうで、その一部を見せていただくことができた。
組合内をいろいろと案内していただいた後、フィリップ氏に別れを告げBBを後にした。
グランプラスを横切って、ギャルリー・サン・チュベール方面へ。
ファストフード店のEXKで軽い昼食をとった後、Vさんの用事で、グランプラスからすぐの場所にある、「ジャン・フィリップ・ダルシー」というチョコレート屋さんへ。
店頭に現れたのはなんと日本人の店主の方。
ここではチョコレートの試食などさせていただきながら、チョコレートについての興味深いお話をうかがうことができ、とても勉強になった。
■書店めぐり(青木書店、田川書店)
次の目的地は日本人向けの本を取り扱う本屋さん。
ここで『ベルギービール大全』のPRをするのが目的なのだ。
まず最初に向かったのは日本人学校のすぐ目の前にある青木書店さん。
店に入って日本人の店員さんに、
「今度こういう本を出版したのですが、、、」
と本を見せながら言うとすぐに、
「そこに置いていますよ。」
と私の右斜め後ろを指差した。
振り返ると『ベルギービール大全』がちゃんと平積みで置いてあった。
店員さんによると1ヶ月前には店頭に並び、すでに数冊売れているとの事。
ベルギー在住の日本人の方にも需要があるようで、本も長旅をしてきた甲斐があるというもの。
その後、店員さんがわざわざオーナーの青木さんに電話をしてくださり、直接お話をすることもでき本当にうれしかった。
それから店内を見学しているときに、今朝Vさんに車の中で教えてもらった、「ユーロ硬貨を国ごとにコレクションする本」を発見。
さっそく息子の土産に購入した。
次に向かったのはもう1軒の本屋さん、田川書店。
ここは奥に日本食のスーパーもあり有名なところだ。
ここでも先ほどと同様、日本人の店員さんに本の説明をしようとすると、
「その本でしたら初回入荷分は完売してしまいました。」
との事。
2週間ほど前に入荷したがすべて売れて、今2回目の発注を行ったところだという。
やはりベルギー在住の日本人の方の需要があるとの事で、本当にうれしかった。
店員さんにお礼を言って、奥の日本食スーパーを見学。
調味料、豆腐、アイスクリーム、、、何でも揃っていて驚いた。
■Beer Maniaへ
次に向かったのはポルト・ド・ナミュール駅近くにあるベルギービール専門店、「Beer Mania」。
ここに来るのは実は3回目だが、今回はお客としてではなく、輸入業者として商談に訪れることになった。
店は以前は小さなものだったが、なんと以前の店の隣に立派な新しい店ができており、奥にはカフェも併設されていた。
5年ぶりくらいに会った店主のNasser Eftekhari氏は、以前のいかつい雰囲気ではなくどことなく丸くなった印象。
スキンヘッドは相変わらずだった。(笑)
このたび「Mea Culpa(ミア・クルパ」という、自分の理想のベルギービールをOEM生産したとのことでその商品について説明を受けた。
このビールは10種類以上の原料を使用し、12回以上も仕込みのテストを繰り返した上でようやく出来上がったものだという。
また専用グラスが凝りに凝っていて、15年前にEftekhari氏の夢に出てきたものを製品にしたらしい。
何でも10個作ると35%は割れてしまう、という超特殊なグラス(笑)だそうで、ビールともに価格が恐ろしいので、残念ながら仕入れは見送ることになった。
■初の試み!ベルギー在住の読者の方とミーティング
Beer Maniaを出た後、Vさんにグランプラスまで送ってもらいお別れ。
次は本日最終の予定、ベルギー在住のブログ読者の方とのミーティング場所へと向かった。
実は出発直前の急な思いつきで、自分のブログ「ベルギービール生活」で、3月7日(水)夜にブリュッセルのどこかでミーティング(飲み会)に参加される方は居ませんか?という無茶な告知をしたところ、ありがたくも参加してくださるという方があり、この日集まることになっていたのだ。
午後7時にグランプラス集合。
日本企業の現地法人にお勤めのIさんがこの日のためにわざわざ会社の同僚の方を呼んでくださったりして、私も含めて8名が集まった。
まずは私が一度行って見たかった「ベルガクイーン」に入ったがあいにく満席。
次に向かったのは、証券取引所の隣にある「ファルスタッフ」。
実は何度も近くを通りながら入ったことが無かったのでちょうど良かった。
アールヌーヴォー調で有名な店内はとても雰囲気がある。
まずは自己紹介などをしたあと、ベルギー人のOさんやYさんにベルギーの名物料理をいろいろ注文していただいた。
参加された皆さんからは現地での生活についての話や、ベルギービールとの関わりについて興味深いお話をたくさん伺うことができた。
中でも私に最初にメールをくださったIさんはすごかった。
普段から時間を見つけては醸造所にも出かけて行き、ティスティングしたビールはベルギービールだけでも20種類以上。
それをすべてリスト化されており、醸造所、銘柄、試飲した日、カテゴリー、色、フレーヴァー、特徴などについてこと細かく記入されていた。
そのリストを私にもくださったが、まだ飲んだことの無いベルギービールについての記録が多くあり、思いがけずとても貴重な資料を手にいれることができた。
しかし、ブログの呼びかけからなんと異国の地で見知らぬ方々とこうして一緒にベルギービールを楽しんでいるなんて、本当に不思議な気がした。
(Iさんを始め、集まってくださった皆様に感謝しております)
午後10時過ぎに解散。
ベルギー人のYさんが車でホテルまで送ってくださることに。
10時半頃にはホテルの部屋に戻ることができた。
しかし今日は密度の濃い一日だった。
いったい何人の人たちと会っただろう。
ホテルは以前に泥棒にあったブリュッセル南駅前。
昨日まで田舎のB&Bに泊まっていたせいか、この日はうるさくて眠れなかった。