2009.11.26
6日目その3:ラ・トラップ
バスはE34に乗ってオランダのアイントホーフェン方面へ向かう。
アヘルを出発して1時間も経たないうちに最後の訪問場所、ラ・トラップに到着した。
こちらが修道院の正門。
このあたりはサイクリングのコースになっているようだ。
時間の関係上、まず最初にお土産購入。(笑)
“Kloosterwinkel”とはまさに修道院ショップ。
オランダ人は商売上手、と聞いていたとおり、どのトラピスト修道院にも負けない、豪華なショップだった。
入って右側3分の2くらいのスペースがビールやグッズなどのショップ、左側3分の1くらいのスペースが宗教関連の本の陳列。
これまでの修道院であまり買い物ができなかったので、参加者の皆さんはものすごい勢いで買い物をしていた。
買い物が終わるといよいよ修道院内部の見学。
しかしショップを出る頃にはかなり雨が強くなっていた。
修道院は1881年に設立。
かつては朝4時半に起きて夜9時に寝るまでが一日の生活だったが、そのうちに7回のミサがあり、最終は夜中の1時半にも行っていた。
1968年まで修道士は一日中黙って過ごした。
それ以降も話すことは許されたものの、必要最小限に留められた。
現在、修道士は23歳から88歳までの18名。
外部の者でも1泊40ユーロで宿泊することもできる。
とても人気があり、いつも予約でいっぱいだそうだ。
今は使用していない、1884年当時の仕込み室。
修道士たちは当初ドイツで下面発酵ビールの醸造を学んだ。
第二次世界大戦の時には多くの醸造所がドイツ軍に釜などを接収されたが、この修道院のものは小規模だったため幸いにも接収を免れた。
しかし第二次世界大戦後は原料が手に入らなくなってしまったため、レモネードなどのソフトドリンクを製造した。
1960~70年代には、ピルスナーの人気とともにここでも下面発酵用に設備を入れ替えた。
醸造するビールはとても人気を博したが、そのため労働の比重が高まり、祈りがおろそかになる結果に。
そこでアルトワ社に醸造を委託することになった。
委託醸造は1980年代まで続いたが、突然契約が打ち切られてしまった。
その後しばらくはビールを醸造していなかったが、1990年に新しい醸造所を設備。
1999年より設備を拡張するために、ビールの醸造量、コマーシャルの量を増やした。
現在では6種類のレギュラービール+特別醸造のイシドールで、年間約10,000klを醸造しており、国内だけでなくヨーロッパ全土、ロシアなどにも輸出している。
こちらが仕込み室。
仕込み水は140メートルの深さの井戸より。
発酵、熟成の部分は見ることができず、敷地内を移動してそのまま瓶詰室へ。
ここが瓶詰の建物。
修道院チックなデザインが面白い。
ここでは修道士でなく、民間の人が働いている。
1時間に1万本の瓶詰が可能。
赤と緑の作業着がかわいい。
中は近代的だが、壁は修道院のまま。
敷地内を移動して今度は修道院内のレストランへ。
雰囲気の良い個室に通され、ここでまずはラ・トラップに関するビデオを鑑賞。
そしてお楽しみのティスティング。
左右のグラスはプリント違い。
(左がコニングスホーヴェン、右はラ・トラップ)
そして最後に特別なビールを飲ませていただける、とのことでオーク樽の熟成室へ。
なんとクアドルペルを主発酵後オーク樽に入れて熟成させていた。
2009年8月にオーク樽に入れすでに3ヶ月が経過しており、2010年1月まで樽熟させる予定とのこと。
オーク樽は新しいもの、古いものをいずれも使用し、瓶詰前にブレンドされ、瓶内二次発酵される予定だが、まだ製品化は検討中の段階だそうだ。
写真は醸造所175周年を記念して醸造されたイシドール。
イシドールも6樽のみテスト中。
特別に樽から直接出したものを試飲できることに。
ヴァニラや干しぶどうの香りたっぷりの深い味わい。
ティスティング後、午後6時頃大雨の中バスでアントワープに向かう。
アントワープのクリスマスイルミネーション。
夕食は2000年9月にオープンした有名店、グランカフェ オルタへ。
名前のとおり、アール・ヌーヴォー建築の巨匠ヴィクトール・オルタの作品の柱を使用しているそうだ。
美味しいビールと食事を堪能してホテルへ。